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糸をほぐす

頭の中のからまった糸をほぐすように、文章を書いています。

『刑事フォイル 臆病者』

『刑事フォイル 臆病者』の感想を書いています。シーズン1の第2話です。ドラマは現在、NHK BSプレミアムで再放送中です。

 

原題は「white feather」、「臆病者」と訳されています。「white feather」とは、

(闘鶏の尾の)白い羽⦅戦いに弱いしるしといわれる⦆;臆病者の証拠

だそう(英和辞典『GENIUS』より)。ホワイトフェザーは、ドラマの中で出てくるホテルの名前でもあり、登場人物を象徴しています。

今回は3人の父親が出てきます。ホテルホワイトフェザーのアーサー、殺人事件の容疑者となるデビッド・レーンの父イアン、そしてフォイル。

3人の父親の息子への思い、このドラマでは何度も出てくるテーマであるユダヤ人に対する感情、そしてフォイルとミルナーとの関係の変化に注目しました。

 

 あらすじ&感想

1940年5月。

ミルナーはロンドンで偶然ガイ・スペンサーと出会いました。ガイはフライデー・クラブというナチス寄りでイギリスの戦争に反対している政治団体の中心人物。スペンサーは、これから講演をするから聞いていかないかと声をかけます。講演の後、ガイはミルナーを食事へ誘います。その頃、スペンサーの主催するフライデー・クラブのメンバーは、路地裏である男性を暴行し怪我をさせていました。

ヘイスティングズでは、イーディス・ジョンストンという女性が軍のキャンプ近くの電話線を切る事件が起きます。フォイルがイーディスに話を聞くと、彼女はドイツ軍があと数日で攻めてきて、イギリスもやられると言います。

フォイルとサムは、イーディスの勤務先であるホワイトフェザーというホテルに向かいました。ホテルのオーナーであるマーガレットとアーサーの夫妻に話を聞きますが、新しい情報はありませんでした。2人にはスタンレーという息子がいます。

 

フォイルたちは、イーディスのボーイフレンドで漁師をしているデビッド・レーンに話を聞こうと港へ向かいます。デビッドは、イーディスはもともと明るい性格だったが、変わってしまったと言います。彼の父親のイアンも、イーディスは最近港へは来ていないと言います。

ホワイトフェザーにスペンサーが到着しました。彼の他にも、外務省で働くハーウッドらが集まってきていました。彼らはフライデー・クラブメンバーで、ユダヤ人をよく思わず、イギリスの参戦に反対の意見を持つ者たちです。彼らの他には、ウールトンという男性が泊まっていました。ウールトンは、拳銃を持ってきていました。スタンレーはウールトンの部屋で拳銃を見つけ、そのことを父親のアーサーに伝えます。

夜になり、ホワイトフェザーではフライデー・クラブの勉強会が始まりましたが、その途中でヒューズが飛んで部屋が真っ暗になりました。突然銃声が響き、明るくなるとマーガレットが倒れていました。

フォイルは、ホワイトフェザーで捜査を開始し、スペンサーとその秘書のフレミングに話を聞きます。スペンサーは、拳銃で狙われたのは自分だと言います。話が終わりフォイルが部屋を出ようとすると、

「君はユダヤ系かな?」

と問いかけます。何か言いたそうな顔をしますが、何も言わずに部屋を出ていくフォイル。人種差別に対する彼の考え方が現れた態度だと思います。

殺人の捜査のためホテルに足止めされている宿泊客たちは、サムに運転手なら家まで送れと要求しますが、サムはフォイルに確認しなければと答えます。

「私に逆らうのか?」

と聞かれ

「はい。そういうことになります。」

と笑顔で答えるサム。さすがです。

 

フォイルの息子アンドリューからフォイルに手紙が届きました。パイロットになったアンドリューの近況報告。フォイルは、手紙をテーブルのアンドリューの写真の隣に置きます。息子を心配する無言の演技がとてもよいです。

 ホワイトフェザーでフレミングから、事件のあった日に庭で男を見かけたと聞き、デビッドではないかと思い、港へ会いに行きますが、デビッドはフォイルの姿を見て逃げ出します。その後デビッドは、ロンドンへ向かう汽車に乗るところを逮捕されました。

 フォイルは、ホワイトフェザーでウールトンと名乗っていた男に会いに行きます。ウールトンは偽名、本名はウルフで、電気店を経営しています。ウルフの甥イツァークはユダヤ系であるために、フライデー・クラブのメンバーに暴力を受けてひどい怪我をしていました。ウルフはそのことでスペンサーを恨み、彼を殺害しようとホワイトフェザーに行きましたが、撃ったのは自分ではないと言います。

ウルフの店を出た後、フォイルは陸軍情報部に強引に連れていかれます。そこで、フライデー・クラブに潜入している諜報員からフォイルのことを聞いた、お願いしたいことがあると言われる。その諜報員はフレミングかと言うフォイルに、陸軍情報部は驚きます。フォイルの目はごまかせませんね。

陸軍情報部のお願いとは、5日前に盗まれたある書簡を探してほしいというもの。書簡の内容は、イギリスがドイツとの和平交渉を望んでいるというもので、それが表に出るとイギリス国民の士気が下がることになります。おそらく、外務省勤務のハーウッドが持ち出してガイに渡し、スペンサーがドイツへ渡す算段だろうと推測はできますが、書簡が出てこなければ逮捕はできません。陸軍情報部は、フレミングが諜報部員だとスペンサーたちに知られずに書簡を探さなければならず、マーガレット殺害の捜査でホワイトフェザーに入れるフォイルに頼むことにしたのでした。フォイルはホワイトフェザーを再度捜索しますが、書簡は見つかりません。

フォイルは再び港へ向かい、デビッドの父親イアンと話します。イアンは、デビッドは人を殺したはずはない、出向命令が出たから船を出すためにデビッドを釈放しろと言います。これはダイナモ作戦と言われたもので、フランスのダンケルクに民間の船を招集し、フランスとイギリスの兵士を救出する作戦でした。多くの兵士たちが救出され、後にダンケルクの奇跡と呼ばれます。

「俺の船には20人乗れる。たったの20人かもしれない。だが何百隻もの船が力を合わせて同じことをすればすごいぞ。でもデビッドがいなければ船を出せない。俺一人では船を操れないんだ。だから釈放しろ。国の役に立ちたい。釈放してくれたら、神に誓って俺が必ず息子をあんたのもとに連れて戻るから。逃がしたりしない。この作戦さえ終われば戻ってくる。そしたら気が済むまで取り調べろ。必ず息子は潔白だとわかるはずだ。俺やあんたと同じに。」

イアンの言葉に胸を打たれて、フォイルはデビッドを釈放します。イアンとデビッドはダンケルクへ向けて船を出します。

 

ホワイトフェザーでアーサーが睡眠薬を多量に飲んで、自殺を図りました。フォイルはアーサーの息子スタンレーと話します。スタンレーは、母のユダヤ人差別に嫌気がさし、ホテルの所有者である母を恐れて何も言えない父親も嫌いだった、逃げ場のない家庭だったと言います。フォイルはスタンレーに嘘はいけないと言います。スタンレーがアーサーの遺書を隠したことを見抜いてそれを言わせようとしたのですが、スタンレーは遺書のことを言いませんでした。

フォイルは病院にアーサーを訪ね、遺書がなかったと伝えます。アーサーは、マーガレットが遺言を書き換え、ホテルの半分がスペンサーに遺贈されることになり、自分は妻もホテルも失ったために自殺を図ったと言います。

警察署へ戻るとスペンサーが来ていました。スペンサーは秘書のフレミングを釈放してほしい、苦情を申し立てると言います。なおもフォイルに言います。

「息子さんは現在、フランス北部の戦場にいる。あなたも同じだ。息子さんは空軍だとか。息子さんを失ってもいいのか?殺されてもいいのか?ヒトラーポーランドに侵攻したというだけで。」

スペンサーは、人の弱いところを突いてくる人です。このやり方で、今までも多くの人を自分の味方につけてきたのでしょう。ミルナーもその一人です。ミルナーは、警察へ戻って一生懸命仕事をしようとしていますが、妻のジェーンはミルナーが義足になった現実を受け入れられず、家庭はうまくいっていません。誰にも理解されないという気持ちにスペンサーはつけ込んでいたのでしょう。

スペンサーは部屋を出るとき、ミルナーに声をかけます。

「そうだ。あの貸した本を読み終わったら返してくれ。」

 

イアンがダンケルクから戻り、フォイルとサムは港へ向かいます。港は傷ついた兵士たちであふれていました。ダンケルクで悲惨な光景を見てきたイアンは、まだ何千人もの兵士が残っている、必ず助けに行くと言います。姿を見せないデビッドに悪い予感を持ちながらフォイルは、デビッドはどこにと聞きます。

デビッドは死んでいました。イアンは死んだデビッドを連れて帰ってきたのでした。

「こいつを置いてくれば兵隊をもう一人乗せられたが、連れて戻ると約束したからな。連れてきた。」

泣くイアンを見て、どんなにイアンに憎まれることになったとしても、デビッドを釈放せず、ダンケルクに行かせなければよかったとフォイルは思ったでしょうか。デビッドにアンドリューを重ねて見ていたのだと思います。

 

フォイルはイーディスに会い、デビッドが死んだことを告げます。フォイルは、イーディスの祖母がユダヤ人だとマーガレットに知られ、脅されて電話線を切ったのではないかと聞きます。イーディスはそれを肯定します。フォイルは、証拠不十分でイーディスを釈放しました。

「デビッドのこと忘れないよね。」

フォイルに聞かれイーディスは答えます。

「忘れない。」

 

フォイルは病院にいるアーサーを訪ね、妻マーガレットの殺害容疑で逮捕すると告げます。アーサーはマーガレットを憎んでいました。長い間実行には移せなかったが、マーガレットにドイツ軍が攻めてくると聞かされ、それが本当になればイギリスは混乱し、殺人事件の捜査をする人員も割けないだろうと妻殺害を計画しました。勉強会の夜、アーサーは全客室の明かりをつけてヒューズが飛ぶようにして、暗闇で目印になるようパイプに硝酸カリウムを混ぜて発光するように細工をしました。ヒューズが飛んで暗くなったとき、パイプを妻の前に置き、それを目印に妻に向けて銃を撃ったのです。しかしその後、息子スタンレーがドイツ軍は攻めてこないと言っているのを聞き、自分は妻殺しで逮捕されると思い、自殺を図りました。

「謝っておいてください。息子に。いい父親になりたかったと。」

と言うアーサーに

「彼はわかってますよ。」

と声をかけ、フォイルはアーサーの病室を出ます。

 

事件が解決し、フォイルはミルナーを呼んで話します。

フォイルは、事件の容疑者だったスペンサーに肩入れしているミルナーの態度を責めます。フォイルの息子アンドリューが空軍にいることをスペンサーに話したのもミルナーで、そのことでミルナーに対する個人的な信頼も裏切ったと伝えます。フォイルに批判され、ミルナーは本音を話します。

ノルウェーから生還して以来、僕がどんな気持ちかおわかりになります?特別扱いもいりませんし、同乗してくれとも言いませんが、なんでこんな戦争が起きたのか、何の戦争かもわからない。スペンサーはわかってくれて、こう言ってくれました。僕には何の非もないと。」

「そうする理由があったからだ。」

フォイルは、ミルナーがスペンサーから借りた本を手に持ち、外務省で盗まれた書簡のことを話します。本の表紙の裏にはナイフで切られたようなあとがあり、表紙と表紙の内側に貼られた紙の間にわずかなすきまができていました。フォイルはピンセットでそこから書簡を取り出しました。スペンサーは、捜索を受けない警官の立場のミルナーを利用して、書簡をミルナーに貸した本の中に隠していました。それを見たミルナーはショックを受け、辞表を出しましょうかとフォイルに言います。

「辞表などいらないよ。君がいなければ、仕事が進まないからね。それよりも、今回のようなことは一度限りにして、これからは私を信頼してほしい。個人的な事情はさておき、私と君とサムの3人で一丸となって捜査に臨むことが大事だ。わかったか。」

「はい。よくわかりました。」

 「よし。」

 2人は握手を交わします。やっと、3人が1つのチームになりました。

 

フォイルはデビッドの葬式に出席します。イアンと目が合い、息子が同い年だと言うと、イアンは無言で頷きました。

 

 

『刑事フォイル』について書いた記事

 

 

 

 

 

umisoma.hatenablog.com

 

『刑事フォイル 警報解除』

『刑事フォイル 警報解除』の感想を書いています。第5シリーズ第3話(NHK BSプレミアムでは2017年3月5日、3月12日放送分)です。

 

あらすじ&感想

終戦の祝賀行事の治安維持委員会の中で起こった2つの事件の捜査。事件の引き金となったのは、戦争がきっかけでついた嘘と、戦地で受けた心の傷です。

 

1945年5月、戦争の勝利宣言を待ちわびるイギリスの人々。

フォイルは終戦とともに警察を退職する予定です。ドライバーの職を失うサムは、新しい仕事を探しています。ミルナーは妊娠中の妻イーディスとともに子どもが生まれるのを待ちわびています。ミルナーは終戦後は、ブライトンで警官を続けることになっています。

 

フォイルは、終戦の祝賀行事の治安維持の委員となります。委員会の他のメンバーは、議員のグリフィス、医師のジーグラー、ホテルオーナーのロングメイト、アメリカ人でフォイルの友人キーファー少佐。キーファーがヘイスティングズに来ることをフォイルは知らず、委員会で再会し驚きます。 ジーグラーはロングメイトに、名前に聞き覚えがあるから以前に会ったことがあるのではと言いますが、ロングメイトは会ったのは初めてだと答えます。

ロングメイトは目が悪いために兵役に就くことができなかった、その埋め合わせに自分の費用で戦勝の祝賀会を開く予定だと言います。

 

仕事を探すサムはフォイルに勧められ、ボランティアの募集をしているサーファ(復員軍人援護会)を訪ねます。サーファは、復員した軍人に情報や衣類を提供したり、家族を探したり、話し相手になったりと、仕事は多岐に渡ります。心に深い傷を負った人たちを相手にしなければなりません。サムは、サーファでボランティアの仕事をすることにします。フォイルの捜査についていく中、戦地で傷ついた人たちを目の当たりにしてきたサムは、そうした人たちの力になりたいという気持ちも強いのだと思います。

 

グリフィスは不眠に悩まされ、診察を受けるためにジーグラーの病院を訪れます。そこで、昔あったあることで自分は誰かに責められていると訴えます。キーファーも悪夢に悩まされよく眠れません。それは、海に浮かぶアメリカ兵の死体に囲まれている夢です。

 

フォイルは一人で釣りに出かけます。フォイルの釣りのシーンはひさしぶりです。生活が落ち着いてきていることがわかります。

釣りをしていると、突然アンドリューが現れます。アンドリューを見たときのフォイルは、嬉しいような泣きたいような、なんとも言えない表情をします。

「父さん。ここだと思った」

アンドリューが帰ってきました。暗い回が続いていましたが、フォイルとアンドリューの再会のシーン、2人で林の中を歩く後ろ姿、とてもよかったです。

家へ帰り、バーボンを飲みながら2人で話します。アンドリューは、死んでいった友達のことを思い出します。なぜ自分が生き残ったのかをいつも考えているというアンドリュー。そうだとしても、フォイルはアンドリューの無事に帰ってきたことを静かに喜びます。

 アンドリューはサムのことが気になり、会いに行こうかなと言いますが、アンドリューがサムを手ひどく振ったことを知っているフォイルはいい顔をしません。2人がつきあっているとき、フォイルはもしかしたら、サムが義理の娘になると想像したこともあったかもしれませんね。2人が別れても大事な部下であることに変わりはないサムに、また傷ついてほしくないのだと思います。

 

ロングメイトの秘書をしているジャニスの夫エドワードが戦地から戻ってきました。しかし、何かを隠しているジャニスとはぎくしゃくし、戦地での生活から元の生活へと気持ちを切り替えることができません。エドワードはサーファを訪ね、担当となったサムと話します。

サーファでの仕事が初日のサムは通り一遍の応対しかできず、実は今日が初日でお茶を入れることしかできないと言います。それをきっかけに、エドワードは本音を話し始めます。飾らない態度で相手の心を開くのはサムの長所です。

「俺の戦友の半分は死んだ。死んだほうが楽だったよ。」

エドワードの言葉にサムは何も返すことができませんでした。

 

2度目の委員会後、ロングメイトは祝賀行事の準備があると最初に部屋を出ていきます。ジーグラーはフォイルに、話したいことがあるから署に伺いたいと声をかけます。

委員会からの帰り道、ジーグラーは誰かに刺されます。発見者はヘイスティングズ署のブルック。不当に高い価格で戦勝祝いのフラッグを売っている男を逮捕しようと、走って追いかけていたところを偶然見つけたのです。有能なのかどうなのかわからなかったブルックですが、全速力でヘイスティングズの石畳みの街を走り抜け、シーズン最後に活躍しましたね。

フォイルとミルナージーグラー殺害の捜査を始めます。

委員会の開かれていた博物館の学芸員助手のマイケル・ブラウンに話を聞くと、委員会の後最初に出てきたのはキーファー、次にグリフィスでした。

 

ジーグラーが殺害されたのと同じ日にグリフィスが自殺しました。フォイルたちはグリフィスの家へ向かい、彼の母親に話を聞きます。グリフィスが軍の通信隊にいたこと、ジーグラーが彼の主治医だったこと、玄関に虎の写真が貼ってあったり砂の入った封筒が送りつけられたりし、何かに怯えていたことを聞きます。

 

アンドリューが突然サーファに来ます。無事に戻ってきたことを知り、サムは笑顔を見せます。

アンドリューはサムに、ヘイスティングズにいるときにつきあっていた彼女(サムのこと)とヨリを戻したいとう相談をします。相手の職場でこんな相談をするとは、ちょっとずるいですよね。サムはヨリを戻すつもりはないことを伝えます。

 

ロングメイトへの捜査で、フォイルは目のことを聞きます。目のせいで兵役に就けなかったと言ったのに、眼鏡もかけていないことがフォイルは気になっていました。ロングメイトは、実は狭心症で、それが選挙で不利に働くのではと思い目が悪いと言ってしまったのだと答えます。

 

グリフィスとキーファーの関係が気になるフォイルはロンドンへ向かい、ヒルダと会います。

この人の登場はずいぶんひさしぶりです。私はヒルダ役の女優さんの声が好きです(吹き替えではなく演じている女優さんの方です)。落ち着いていてちょっと色気があって。

フォイルはヒルダに、前年にアメリカを巻き込み、グリフィスが関わった戦地で起きた何かについて情報が欲しいと頼みます。ヒルダは、公式には記録されていない「虎作戦」の情報をフォイルに渡します。

 

ミルナーは、ジャニスに話を聞きに行きます。以前、ミルナーがイーディスと一緒にいるとき、イーディスはジャニスに声をかけましたが、ジャニスは人違いだと答えたのが気になっていました。

ジャニスは上司のロングメイトとの間に一度だけ過ちを犯して子どもができてしまったというのでした。ロングメイトはおろすように言ったけれどジャニスはそれができず、出産した後母に預かってもらい、今は養子に出す手続きをしているところでした。ジャニスは夫のエドワードにそのことを知られることを恐れていました。

ジャニスがミルナーに話したことを、エドワードは聞いていました。しかしエドワードは、ジャニスのことを受け入れるように、彼女の手を握ります。

 

フォイルはキーファーに会い、ヒルダから情報を得た「虎作戦」について、直接話を聞きたいとキーファーに会います。

前年、ドイツのノルマンディー上陸に備えてアメリカ軍が演習をしていたとき、突然ドイツの魚雷艇が現れ、749名のアメリカ兵の死者が出ました。ドイツ軍が近づいているという警告はなされていたのに、そのタイプにミスがあり、アメリカ軍に警告が届かなかったのです。その警告ミスに関わっていたのがグリフィスでした。キーファーはそれを知り、グリフィスの家のドアに虎の写真を貼るなどの嫌がらせをし、グリフィスはそれに耐えられず自殺しました。

キーファーの話を聞いたフォイルは、ミスはグリフィス1人の責任ではないが、グリフィスの自殺についてキーファーを罪に問うことはできないと席を立ちます。

「戦争ってのは妙なもんだ。人を変える。影響を受けなかったのは君だけか。」

キーファーの言葉をフォイルはどんな思いで聞いたのでしょうか。

 

その後フォイルはロングメイトを訪ねます。ロングメイトは兵役を逃れるため、狭心症の者に金を渡し、自分の代わりに徴兵検査を受けさせていましたが、その検査を担当した医師がジーグラーでした。最初に目が悪いと嘘をついたのは、狭心症と言えばジーグラーが自分を思い出すのではないかと危惧したからでした。

ロングメイトは、ジーグラーがロングメイトの嘘に気づき、それをフォイルに伝えるのではないかと思い、ジーグラーを殺害したのでした。

 

事件も解決し、ミルナーは昇進の通知を受け取り、イーディスも無事出産、ラジオからはチャーチルの勝利宣言が流れ、祝賀ムードに包まれる中、フォイルは一人でヘイスティングズ署を出ていきます。

 

最後に 

これで今シーズンの放送は終了です。ぜひ第6シリーズ以降も放送してほしいです。

もともとは英語の勉強になるかと見始めたドラマでしたが、ブログで感想まで書くほどストーリーにはまってしまいました。いつも感想を書くためにドラマを見直しますが、見るたびに新しい発見がある、とてもよくできたドラマです。

もっと少ない字数ですっきりとまとまった感想を書きたいのですが、ドラマを見直していると書き残したいエピソードが多くて長くなってしまう。読みにくい文章を読んでくださりありがとうございました。

現在再放送中の『刑事フォイル』は、印象に残った回だけでも感想を書いていこうかなと思っているところです。

 

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ロンドン ホワイトホールで(2017.3)

 ホワイトホールは、フォイルとヒルダが待ち合わせた通りです。写真はホースガーズの前で撮ったもの。

 

『刑事フォイル』について書いた記事

 

umisoma.hatenablog.com

 

 

 

 

umisoma.hatenablog.com

 

  

『カルテット』STORY8-最終回

第6回、7回の感想をイギリスに向かう機内と着いてからのホテルで書いたのだけど、帰国してから忙しさにかまけて、その後更新しないまま最終回を迎えてしまった。

 

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真紀さんの過去を知ってみると、これまでの回での真紀さんのセリフも違う意味をもって聞こえてくる。

第8回、真紀さんと別府くんがお客としてノクターンを訪れたときのセリフ。

「1人1人、ちょうどいい場所ってあるんだと思います。」

という別府くんのセリフに対し、

「ちょうどいい・・・」

と何かを考えながら言う真紀さん、とか。過去の秘密を抱えた真紀さんには、三流以下のカルテットでも、過ぎた場所に思えたんだろう。

 

第9回で、家森さんが別府くんに、

「2種類いるんだよね。人生やり直すスイッチがあったら、押す人間と押さない人間。僕はもう押しません。」

押さない理由は

「みんなと出会ったから。」

家森さんには、多分そこが「ちょうどいい場所」だと思ったからなんだろう。

 

ドラマの最終章に入り、真紀さんがある女性から戸籍を買っていたことがわかる。真紀さんの本当の名前は山本彰子(あきこ)。

 真紀さんの母親(母親を演じられていたのは坂本美雨さんでしたねー)は、自転車にはねられて亡くなっていた。12歳の少年が、弟の生まれる病院に自転車で向かう途中に起こした事故だった。少年の家族は事故が元で離散した。山本彰子の義理の父親は、12年間事故の賠償金を請求していた。

山本彰子が早乙女真紀の戸籍を買って失踪した後、賠償金の請求は止まり、義理の父親心不全で亡くなった。義理の父親山本彰子に殺されたのではと警察は疑う。

山本彰子は、義理の父親の賠償金請求を止めようとして戸籍を買って別人になったのか、父親を殺して失踪するために戸籍を買ったのか。グレーだ。

 

執行猶予がついて釈放された真紀さんは、カルテットに戻らない。犯罪者として週刊誌に載った自分の演奏は色眼鏡で見られ、全部灰色になってしまうから。

週刊誌に載った真紀さんの写真から場所を割り出し、3人は真紀さんを演奏でおびき出す。公園での4人の再会のシーン、よかった。

真紀さんが軽井沢に戻ると、3人の生活は、自分が一緒に暮らしていた頃とは変わっていると気づく。家森さんは元ノクターン、現のくた庵で仕事をしているし、すずめちゃんは資格を取るために勉強しているし、みんなを養っていた別府くんは仕事をやめて無職。3人が変わったことは真紀さんのせいじゃないと、家森さんが言う。

「1年前にもこんなふうにして話してたじゃないですか。好きなことを趣味にするのか、夢にするのか。趣味にできたら幸せだけど、夢にしたら泥沼で、ちょうど今そのときが来たんだと思います。夢が終わるタイミング。音楽を趣味にするタイミングが向こうから来たんです。」

好きなことを仕事にするか、趣味にするかの選択に迷う時期はある。能力の限界という現実の壁に突きあたったとき。それでも続けていくことに意味はあるのか。

「教えてください。価値はあると思いますか。意味はあると思いますか。将来はあると思いますか。なぜ続けるんですか。なぜやめないんですか。なぜ?教えてください。お願いします。」

ドラマは視聴者にも問いかける。

 

プロを目指さなくてもいい、趣味として続けていければいいという3人の思いを聞いた真紀さんは、軽井沢の大きなホールで満員のコンサートを開こうと言う。

あのときを思い出した。第5回、愛死天ROOの仕事で、演奏せずに弾いてるフリをすればいいと言われて帰ろうとした3人に、

「やりましょう」

「カルテットドーナツホールとしての夢を見せつけてやりましょう」

と言ったときの真紀さん。この人のこういうときの切り替え方はすごい。あのときの真紀さんよりパワーアップしていて、自分の欠点とも言える過去の出来事を利用して人を集めるという。もう、楽しんだ者勝ちなんだなあ、人生は。

 

4人は、一流でも二流でも三流でも、志のある三流でもないところで、カルテットドーナツホールを続けていく。傍から見て、それがいいのかはわからないけれど、4人にとってはそれでいいんだろうな。他人のしていることが意味があるのかないのかを考えることが、そう意味のあることとは思わない。

もともと欠点で結びついていた4人。ドーナツの穴は欠点で、穴のない揚げパンが完璧かというとそうではなくて。いいか悪いかでもなく、白か黒かでもなく、主題歌『大人の掟』で歌われているように

「自由を手にした僕らはグレー」

白も黒も飲み込んで前に進んでいければいい。

なんか、『無罪モラトリアム』という言葉が浮かんだ。何度聞いたかわからない、椎名林檎さんのアルバムタイトルなんだけど、この4人のような状況を言うんじゃないだろうか、とふと思った。

 

「人生、ちょろかったー」

って私も言ってみたい。

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しかし人生って長いのよね、思ったより。なんて、有朱のことになんだかんだと言及してしまうのは、私多分有朱のこと、嫌いじゃない。

 

 

無罪モラトリアム

無罪モラトリアム

 

 

『カルテット』について書いた記事

 

 

 

 

 

umisoma.hatenablog.com

『刑事フォイル 壊れた心』

『刑事フォイル 壊れた心』の感想を書いています。第5シリーズ第2話(NHK BSプレミアムでは2月19日、2月26日放送分)です。

 

 あらすじ

<前編>

1944年10月。イギリス軍はある貴族の館を接収し、精神を病んだ兵士の診療所にしていた。そこで働くユダヤ人の医師ノバクは、フォイルの友人でありチェス仲間だ。ある日、その診療所で別の医師が殺される。一方、ドイツで捕虜となっていた男性が復員。5年ぶりに戻った我が家で見たのは、自分の妻子がドイツ人の捕虜と楽しそうに過ごしている姿だった。

<後編>

収容所を脱走したドイツ人捕虜が死体で発見される。フォイルは、前日に彼と激しく口論したフレッドと、同じころに姿を消していた家出少年に疑いの目を向ける。一方、自殺を図ったが一命を取り留めた医師のノバクは、自分が同僚の医師を殺したと主張するが、フォイルは疑問を抱く。そして捜査を進める中、被害者の書斎である物を見つける。

NHK海外ドラマHP 『刑事フォイル』これまでのあらすじ より

 

感想

これまでの話を通しても印象的な回でした。中心になるのは医師ノバクがユダヤ人であるために起きてしまった悲劇、そこに戦地から戻っても元の生活に戻れないピーターとフレッド、2人のそれぞれの家族が絡んできます。

 

戦争も終わりに近づき、ヘイスティングズ署の雰囲気も少し明るくなってきているようです。ブルックはサッカーの試合の賭けに参加しようとフォイルたちに声をかけます。

一方で、戦争が落とした影はいまだ濃いままです。戦地から戻っても元の生活に戻れない人たちも多く、戦地でつらい体験をしたために精神を病み診療所で生活するピーターや、ドイツの捕虜となっていたフレッドもその1人です。

フォイルの友人でありチェスの師匠でもあるノバクは、ある日カフェでチェスをしながら、フォイルに自分の過去を話します。

「私の妻は音楽家だ。ピアニストでね。ショパンは、妻を思い出すから聴けなくなった。娘が一人。マリアンカだ。あと数日で14歳になる。自宅はポーランドのルブリンにあった。1939年の9月にヒトラーポーランドに侵攻した時、私はパリに出張していてね。戻れなかった。私を運がいいと思うかね。41年6月、家族は強制的にユダヤ人隔離居住区に移された。1年半後にマイダネクという強制収容所へ送られたらしい。あとはわからない。わかる日は来ないだろう。」

フォイルはこう返します。

「常に希望はあります。」

フォイルのこの言葉がドラマの最後までつながっていきます。

2人のこの会話の後、ノバクは同じ診療所の医師ワースの論文が載った精神科学の会報を見て激昂し、「あいつ、殺してやる!」と言い、カフェを出ていきます。 

 

 診療所で医師のワースが殺されるという事件が起きます。

フォイルは捜査のために診療所を訪れ、ノバクにも話を聞きます。ノバクがカフェで「殺してやる」と言ったすぐ後にワースが殺され、ノバクにも疑いがかかります。ノバクはフォイルに、話をするのは仕事があるので少し待ってほしいと言い、フォイルがノバクの部屋を出ている間に、ノバクはマイダネクの惨状を伝えるニュースをラジオで聞いてしまいます。マイダネクはノバクの家族が収容されている場所であり、彼は自分の家族は全員死んでしまったと思います。

ピーターは閉鎖病棟のある病院に転院します。ノバクは、ピーターがワース殺害の犯人だと思い、ピーターを守るために転院させたのです。マイダネクのニュースでショックを受けたノバクは、蒼白な顔で自転車で自宅へ向かいました。何かが引っ掛かったフォイルたちはノバクの自宅へ向かいます。

ノバクは、ショパンの曲を聴きながら、お風呂で手首を切っていました。とても悲しいシーンです。ゆっくりと死に近づいていくノバク、ノバクの家から漏れ聴こえるショパンで何かあったと推測し家に踏み込んだフォイルたち、血で赤く染まったバスタブに浸かったノバクをミルナーが助けるシーンでもショパンの美しいピアノが流れていて、悲惨なシーンを際立たせています。

ノバクは一命を取り留めます。なぜ自殺しようとしたのかと問うフォイルに、救急車に運び込まれながら、ノバクはワースが言っていたと口走ります。 このセリフの「ワース」は診療所の医師ワースのことかと思われましたが、実はBBCの特派員ワースのことだと後にフォイルの捜査でわかります。

ノバクは、ピーターを殺したのは自分だと言いますが、フォイルはそれが真実だとは思えません。

 

フレッドは戦地から妻ローズと息子ダニエルの元に帰ってきましたが、ドイツ人の捕虜でローズの農場の仕事を手伝うヨハンが、ローズやダニエルと親しくしているのを見て怒りを抑えられません。ドイツの捕虜となり苦しい思いをしている間、自分の妻や息子と仲良くしていたのが自分を苦しめていたドイツの人間だとしたら、それも仕方ないかもしれません。

ヨハンをよく思わないフレッドに気を遣い、ローズはヨハンを別の農場へ派遣することを決意します。別れのハグをしている2人を見てしまい、フレッドはヨハンに殴り掛かります。戦地で足を痛めたフレッドは、ヨハンに歯が立ちません。フレッドはヨハンに「戻ってきたら殺す」と捨てゼリフを吐きます。

 

体調が回復し、湖で釣りをしていたノバクは、家出している少年トミーと偶然出会います。家出した理由を問われたトミーは、その理由を答えます。トミーは電報を配達する仕事をしていましたが、夫が戦争で死んだという電報を女性に渡したとき、その女性が帰れと叫びながらトミーを叩いたことにショックを受けていました。

ノバクはトミーに言います。

「その人は悲しみのあまり、我を忘れたんだ。愛する人を失って。君がそこにいたからたたいただけで、今ならきっと君を抱きしめて謝ると思う。君のせいなんかじゃない。」

トミーをたたいた女性の立場に、後に自分が立つことになろうとは、ノバクはこのとき思っていなかったでしょう。 

 

第2の殺人が起きます。被害者は捕虜収容所から脱出したヨハン。ヨハンをよく思っていないフレッドか、爆撃で母を殺されてドイツ人を憎んでいる家出少年トミーが犯人かと思われました。

ヨハン殺害の犯人を探す中、ワース殺害は診療所所長のキャンベルが犯人だとわかります。キャンベルは、診療所の患者ピーターの妻で、自分の秘書をしているジョイとの関係をワースに知られ、ゆすられていたのでした。

 

第2の殺人のヨハン殺害の場面は、偶然、トミーが目撃していました。フォイルも自身の捜査から、犯人を突き止めていました。

フォイルはいつものカフェでノバクと会います。

フォイルは、ノバクが自殺しようとしたのは、ワース殺害の犯人とノバクが思っていたピーターをかばうためではなかったと指摘します。ノバクが自殺未遂で救急車に乗せられたときに口走った「ワース」とはBBCの特派員アレグサンダー・ワースであり、ノバクが自殺しようとした直前のラジオで、マイダネクで「想像もできない殺りく」が行われたとレポートしていました。

「想像もできない殺りく」という言葉に対し、ノバクは

「いや実際に誰かが想像し実行に移した。」

と言います。「想像もできない殺りく」を想像できるという人間の想像力の恐ろしさ。

ノバクは、家族が死んだのに自分一人が生き残った罪悪感からピーターの罪をかぶろうとした、それは間違っていたとフォイルに告げます。マイダネクの生存者の中に娘のマリアンカがいるらしいと。

話が終わったと思い席を立とうとするノバクに、フォイルは「映画はどうでしたか」と声をかける。

ヨハンが殺された日の夜、クロスビーの映画を見ようと映画館の前に並んでいたノバクに、フォイルは偶然会っていました。このとき映画のフィルムは届かず、代わりにコメディとニュースが流されました。マイダネクに関する映像は耐え難い惨状でした。フォイルは捜査でそのことを知り、ノバクがヨハン殺害の犯人だと確信していました。

ノバクは悲惨なニュース映像に耐え切れず、途中で席を立ってしまいました。歩き回っている途中で、収容所を脱走してローズの家に向かうヨハンと偶然出会い、ナチスに対する感情をヨハンにぶつけ、ヨハンを殺害してしまいました。

「私は沸き上がったどす黒い気持ちを彼にたたきつけてしまった。ナチスと変わらない。不思議なものだ。私は科学者で理性的な人間だが、人生における重要な出来事は偶然で決まるという事実から目を背けることはできない。」

 ノバクは偶然パリに出張していたからマイダネクで死なずにすんだ、偶然クロスビーが好きだったから映画館でマイダネクの惨状を伝えるニュースを見てしまった、偶然その後ドイツ人のヨハンに出会ってしまった。偶然が重なって起きてしまった事件。

ノバクがトミーに湖で言った言葉を思うと、胸が痛みます。

 思えば第1話『ドイツ人の女』から、イギリスでドイツ人というのは「敵」でした。戦うべきなのはヒトラーで、民間人には善人もたくさんいるとわかってはいても、大切な人を亡くした大きな悲しみから身近なドイツ人に怒りが向いてしまうのは、どうしようもないことかもしれません。けれど、ノバクが言ったようにそれは一時的な思いで、時間が経ち悲しみを受け入れられれば、怒りを向けた相手を抱きしめることもできる、そうであってほしいと思います。しかし相手を殺してしまっては、もう抱きしめて謝ることはできません。

 

家出少年トミーは、父の本音を聞き、家に帰ることにします。

フレッドは、息子ダニエルのために、ローズとちゃんと向き合おうとします。

「常に希望はあります」

というフォイルの言葉が思い出されます。

ブルックがみんなに声をかけていたサッカーの賭けは、フォイルが大穴をあてました。フォイルは「偶然」と言っていましたが本当でしょうか?フォイルのことなので、ちゃんとデータを読んだ結果かもしれませんよね。

 

今回は、ミルナーが最後に言う

「悲しい事件でした」

という言葉が事件をよく表しています。

 

おまけ

少しの間イギリスに行っていたのと、日本に戻ってからも忙しかったのとで、感想を書くのがだいぶ遅くなってしまいました(この次の回の『警報解除』まで放送終了しています。そちらの感想もこれから書きたいと思います)。

イギリスでは、このドラマの舞台ヘイスティングズにも行ってみたかったのですが、時間がなくて行けず。次回イギリスに行くときには行ってみたいです。

 

『刑事フォイル』について書いた記事

 


 

 

 

  

『カルテット』STORY6、7 「愛してるけど好きじゃない」

第6回は夫婦の気持ちが離れていく過程というしんどい内容で感想を書く気持ちになれなかったのと、あまりに多忙だったのとで、第6回、第7回はまとめて書きます。

それにしても、第5回で4人が自分たちの現実をつきつけられるというしんどさを見せられた後に、第6回もまたしんどかった。

 

「愛してるけど、好きじゃない」 

多分、親やきょうだいに対するのと同じような気持ちのことだろう。大切に思っているし、元気で楽しく過ごしていてほしい、でもいつも一緒にいたいわけじゃない。それでも一緒にはいられるんだけど、幹生は真紀さんを好きでいたかった。

2人でパエリアを作ったときに、幹生がくれた詩集をなべ敷きがわりに真紀さんがテーブルに置いたときには、さすがにどうかと思ったけど、真紀さんからしたら、ありのままの自分を幹生が受け入れてくれているという安心感からなんだろう。

あの歌を思い出したのは私だけでしょうか。

「ありのままの姿見せるのよ

ありのままの自分になるの」


幹生の好きな映画を2人で見るシーンがあった。
「この人悪い人?」
真紀さんが映画を見ながら幹生に尋ねる。
幹生はグレーの象徴のような人だ。いい人なんだけど、ある日妻を残して失踪した。いい人なんだけど、お金がなくてコンビニ強盗をした。
過去の真紀さんは、白黒つけたがる人だったのかもしれない。幹生の失踪が、真紀さんの生き方をグレーに変えていったんだろうか。

相手の気持ちが離れてしまったと知るのはつらい。でも、好きでいたいと思いながらも、好きでいられなくなっていくのもつらい。

 

そして第7回。
真紀さんは幹生と再会し、2人で東京へ向かう。

真紀さんをタクシーで追うすずめちゃんは、コンビニで真紀さんを見つける。
「行かないで」
私たちも家族のはずでしょ。同じシャンプー使ってるし、頭から同じ匂いしてるし。以前真紀さんはそう言ってすずめちゃんのことを家族だと受け入れてくれた。でもすずめちゃんの言葉は真紀さんには届かない。
すずめちゃんは、真紀さんに 隠してたことがあると伝えて、やっと真紀さんと対等な関係になれたのに。このシーンから、すずめちゃんは真紀さんにタメ口で話している。
真紀さんはまたもすずめちゃんに呪いの言葉を吐く。
「抱かれたいの」
それはすずめちゃんにはできないことで、すずめちゃんは真紀さんを引き留められなくなってしまう。

楽器を演奏するする人にとって、楽器はモノではなくて、自分の感情を表現でもの。ずっと1人で生きてきたすずめちゃんにとっては、チェロはもう1人の自分。すずめちゃんの弾くチェロの音を聞いた家森さんはもちろん、すずめちゃんの機嫌が悪いことはわかってしまう。

 

幹生が帰っできた東京のマンションでは、幹生の脱け殻だった靴下は真紀さんによって片付けられる。
「脱ぎっぱなしで」
と。多分真紀さんはこれが言いたかったんだと思う。幹生に再会する前の真紀さんは、そこからまた2人の関係を再生できると思っていたのかもしれない。
幹生とおでんを食べながら、真紀さんはカルテットの話をする。幹生はこういう真紀さんと一緒にいたかったんじゃないか。でも2人でいたら、好きなことをして、バイオリンを弾く生活はできない。
2人は離婚届を出す。

 

離婚した真紀さんの「マキさん」問題再び。
誰かの環境が変わるときに一緒にいられて、そういう時間を積み重ねて、人と人は近くなっていくんだろうね。

 

クドカンさんは、独特の存在感がある。演技をしてるんだけど、やっぱりクドカンさんなんだなあ。 

 

 

今、海外にいます。日本を発つ前に録画で見た『カルテット』を思い出しながら書いたけれど、記憶違いの部分もあるかと思うので、日本に帰ったら記憶あやふやで書いた部分を確認して、多少修正するかも。

 

『カルテット』について書いた記事

 

 

 

 

 

umisoma.hatenablog.com

 

 

 

 

『刑事フォイル 疑惑の地図』

『刑事フォイル 疑惑の地図』の感想を書いています。第5シリーズ第1話(NHK BSプレミアムでは2017年2月5日、2月12日放送分)です。

 

3月11日(土)~  第1シリーズからの再放送が始まるそうです!

www9.nhk.or.jp

 

あらすじ

<前編>

1944年4月。ドイツの敗戦が濃厚となる中、連合軍はドイツ本土への爆撃を続けていた。爆撃に使用する地図を作製していた空軍省の施設では、自分が作った地図のせいで罪のない人々が死んでいると悩む青年がいた。彼はドイツ人であるケプラー神父に心のうちを相談していたが、自殺未遂を繰り返す。一方、ヘイスティングズ署には新たな警視正が着任するが、署員の士気は下がるばかり。

<後編>

フォイルはパーキンズ警視監に説得され、一時的にヘイスティングズ署に復帰。さっそくヘンリーとメレディスの事件の捜査に取りかかる。ミルナーは運送詐欺事件の容疑者を取り調べていく中で、協力者に空軍省の施設関係者がいることをつきとめる。一方、サムはヘンリーの女友達から有力な情報を聞き出していた。

NHK 海外ドラマHP 『刑事フォイル』これまでのあらすじ より

 

詳しいあらすじと感想

フォイルの退職後、サムは警察をやめ、ミルナーは警察の仕事を続けています。

ミルナーは、運送詐欺をしていたビル・バートンという男を逮捕しましたが、彼は自分の友人たちが挨拶周りにくるかもしれないとミルナーを脅します。運送詐欺には軍内部に協力者がおり、この頃には軍も腐敗していたことがわかります。

ミルナーはフォイルの後任の警視正メレディスとうまくいっておらず、異動願を出そうと思っていることをフォイルに話します。その帰り、ミルナーは走ってきたトラックにひかれそうになります。ミルナーたちはバートンの仲間がやったのではないかと疑います。

サムの新しい勤務先ビバリーロッジでは、ドイツ爆撃のための地図を作製していました。そこで働いているヘンリーは、ドイツの町を爆撃し、民間人まで殺してしまう作業に加担していることに罪の意識を持っており、その悩みを教会の牧師ケプラーに相談していました。ケプラーは敵国ドイツからの亡命者でしたが、ヘンリーはケプラーを信頼していました。

ある日、ヘンリーは仕事中にドイツの町ホッホフェルトハウゼンの地図を見て、あることに気づき、ビバリーロッジを出ていきます。その後、ヘンリーは森の中で木にぶら下がった死体となって発見されました。ヘンリーのポケットにはホッホフェルトハウゼンの写真が入っていました。ミルナーは、一見自殺と見えるヘンリーの死を他殺と見立てます。

ミルナーの捜査では、ケプラーはホッホフェルトハウゼンという場所は知らない、イギリスに来る前はミュンヘンの教会にいたと言います。 

ある夜ミルナーとメレディスが帰ろうと署を出たところを、メレディスは銃で撃たれ、ミルナーを「チャーリー」と呼び、死んでいきます。

チャーリーとは、メレディスの息子のことでした。メレディスは戦争で2人の息子を失い、生きる気力を失くしていました。メレディスはもとは有能な人でしたが、戦争の影響で変わってしまったのでした。ミルナーを息子と思って死んでいったことを「せめてもの救いだ」と言うフォイル。戦争の影がこんなところまで来ていました。

再び警視正の席が空いてしまい、警視監パーキンスはフォイルを訪ねます。パーキンスが要件を言う前にフォイルは何を言われるか察し、

「結論から言うと、お断りします」

と言います。しかし、パーキンスは今までのことを詫び

「君の他にはいないんだ」

とフォイルを説得します。前回の『戦争の犠牲者』でフォイルの代わりはいくらでもいると言ったパーキンスに、ようやくそれが間違っていたと認めさせることができました。フォイルは警察へ復帰します。

サムは、ヘンリーが同じ職場のアダムの秘密を握っていたことを突き止め、ヘンリーを殺した犯人はアダムではないかと疑います。サムはそのことをフォイルに伝えます。警察を退職しても、サムはいい仕事しますね。

ケプラーが何かを隠していると疑うフォイルですが、ケプラーはヘンリーが死んだ日にヘンリーと会っていないし、ホッホフェルトハウゼンという町も知らないと言います。

捜査を進めると、バートンの情報からビバリーロッジのフォースター中佐が運送詐欺に関わっていたことがわかりました。バートンはそのことでフォースターを脅迫し、自分の甥のアダムをビバリーロッジで雇わせていました。フォースターはヘンリーを殺していませんでしたが、能力のないアダムに地図を作らせて飛行機の搭乗員を危険にさらし、運送詐欺で戦争に使うお金を着服していたことについて、いずれ処置が下るとフォイルに言われます。

「よかった。ホッとした。正直、この日を待っていた。人生をやり直せたらとよく考える。恥ずかしく思っています。」

フォースターはフォイルに言います。負け惜しみなのでしょうか、それとも本心なのでしょうか。

ビバリーロッジから出ようとしたフォイルはウォーターロウという男性に呼び止められます。彼は空軍情報部所属で、ビバリーロッジからドイツに情報が洩れている疑いがあり、その調査のためにビバリーロッジに入り込んでいた人物でした。彼はフォイルの捜査に協力すると言い、ケプラーの供述書を見せました。それには、ケプラーはホッホフェルトハウゼンに5年間いたと記されていました。フォイルはホッホフェルトハウゼンの写真を確認し、ヘンリーが殺された日にケプラーに会おうとした理由と誰がヘンリーを殺したのかに気づきます。

フォイルは教会にケプラーを訪ね、ケプラーの供述書とミルナーに対する答えの矛盾を問い詰めます。ミルナーがその矛盾に気づく前に、ケプラーミルナーを殺そうとし、誤ってメレディスを撃ってしまったのです。ヘンリーも写真を見てホッホフェルトハウゼンに教会がないことを知り、ケプラーが仕事の悩みを聞くふりをして自分を裏切り、ドイツに情報を流していたと気づきました。ヘンリーを殺したのはケプラーでした。

「私は悪人じゃない。任務を果たしただけ。それはあなたが任務を果たすのとまったく同じだ」

というケプラーにフォイルはとりあわず、

「そういう詭弁に興味などない」

と告げます。銃を向けるケプラーに、外で待つと言いフォイルは背中を向けます。今までの話の中でも、こんなに緊迫感のあるシーンは初めてだと思います。

直後、ケプラーは銃で自殺します。

 

 シリーズも中盤に入り、書かれる内容が変わってきたように思います。長引く戦争が人の心にどう影響しているのかが書かれるようになってきました。 

宗教による救いはもう傷ついた人々の心に届かなくなってきています。大事な人が戦争で命を奪われ、「汝の敵を愛せ」というキリスト教の教えを信じることができません。

 そんな中、 ヘンリーの信仰心を利用したケプラーの行為は、許すことのできないことです。けれど、この人も戦争に勝つために任務を果たすという、国が唱える正義の犠牲になった人物と言えるのかもしれません。

今回もやはりサムのキャラに救われました。フォイルが警察に戻ったら、相談もせずさっさとビバリーロッジをやめてフォイルの運転手に復帰したり、フォイルは困った顔をしながらも嬉しいでしょうね。

 

『刑事フォイル』について書いた記事

 


 

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『カルテット』STORY5 夢と現実とプライド

夢に裏切られた経験がある人には、第5話はかなりしんどかったんじゃないかと思う。しんどい話だった。

「あきらめきれない人たち」

成功している人から見れば、もう終わっているのだ。終わっている夢を、あきらめきれない人たち。

真紀さんもすずめちゃんも別府くんも家森さんもそれはわかっている。だから、音楽事務所のプロデューサーから演奏を褒められても、素直によろこぶことはしない。よろこんだ後、ああやっぱり違ったのだと、理想と現実との落差に気づいて崖の上から突き落とされるような落胆を、もう味わいたくないと思うから。

「悲しいより悲しいのは、ぬかよろこび」

何度も何度もぬかよろこびをしたことのある人にしか言えないだろう、真紀さんの言葉(第2話)。

でも4人なら。別府くんが3人に言う。

 「しばらくは、しばらくの間は、カルテットドーナツホールとしての夢を見ましょう」

そしてまた、夢に裏切られる。

4人に仕事が舞い込んだのは実力が認められたのではなく、世界的音楽家ファミリーの一員である別府くんの弟に頼まれたから。

それでも4人は、演奏者のプライドを捨てない。どんな衣装でも、ダンスをさせられても、ステージで演奏できればそれでいい。

けれどそれさえ砕かれる。ピアノ奏者の到着が遅れているというだけのことで。ピアノと一緒にリハーサルする時間がないから、音源を流して演奏するフリをすればいいと言われる。演奏しなくていいのなら、ステージに立つのは自分たちである必要はない。演奏者のプライドを砕かれた屈辱にすずめちゃんは涙を流す。

「いいよ。やる必要ないよ。こんな仕事やる必要ない。」

ほらねやっぱり、わかってた、だからぜんぜん何ともない。そんな顔をする家森さんに、真紀さんは言う。

「家森さん、やりましょう。ステージ立ちましょう」

演奏者である自分たちが、演奏をせずにステージに立つ。真紀さんはもう、とっくに壊れた夢と、何度も突きつけられてきた現実とともに、プライドさえ自ら踏みつけてもっと先へ進んで行く。

「これが私たちの実力なんだと思います。現実なんだと思います。そしたら、やってやりましょうよ。しっかり三流の自覚もって、社会人失格の自覚もって、精一杯全力出して、演奏してるフリしましょう。プロの仕事を、カルテットドーナツホールとしての夢を見せつけてやりましょう。」

1人の演奏者としてのプライドを超えた、カルテットドーナツホールとしてのプライド。志のある三流でもいい。4人のその覚悟が、路上で、通りすがりの観客にかこまれての演奏につながっていく。

 

嘘をつかない人なんていない。

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「みんな嘘つきでしょ」

そんなこと、有朱が口に出して言うまでもない。 

真紀さんは、もちろんそれを知っているはずだ。なぜなら、真紀さんは秘密を追う者としては誰よりその才能を発揮しているから。別府くんが九條さんの気持ちを利用して恋の相談をしていることを見抜いたり、家森さんには猛暑で離婚はしないと即座に突っ込み、すずめちゃんが別府くんを好きなことも、すずめちゃんの過去をつかまえたことについては言うまでもなく。

「すずめちゃんなんて、嘘が全然ない人だし」

なんて、だから真紀さんがすずめちゃんにかけた言葉の呪いではないかと思ってしまう。

言葉の呪いは人を束縛する。言われた相手は、その言葉に沿うような自分でいようとする。真紀さんに信じてもらえる自分でいたい。でも自分はそうじゃない。

真紀さんの呪いはすずめちゃんに涙を流させ、嘘という鎧を脱がせてしまった。

言葉の鎧も呪いも一切合切

脱いで剥いでもう一度

僕らが出会えたら

おとなの掟

おとなの掟

  • Doughnuts Hole
  • J-Pop
  • ¥250

 絶対の掟は、時間が不可逆だということだと思う。

  

『カルテット』について書いた記事

 


 

 

 

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