『刑事フォイル 警報解除』
『刑事フォイル 警報解除』の感想を書いています。第5シリーズ第3話(NHK BSプレミアムでは2017年3月5日、3月12日放送分)です。
あらすじ&感想
終戦の祝賀行事の治安維持委員会の中で起こった2つの事件の捜査。事件の引き金となったのは、戦争がきっかけでついた嘘と、戦地で受けた心の傷です。
1945年5月、戦争の勝利宣言を待ちわびるイギリスの人々。
フォイルは終戦とともに警察を退職する予定です。ドライバーの職を失うサムは、新しい仕事を探しています。ミルナーは妊娠中の妻イーディスとともに子どもが生まれるのを待ちわびています。ミルナーは終戦後は、ブライトンで警官を続けることになっています。
フォイルは、終戦の祝賀行事の治安維持の委員となります。委員会の他のメンバーは、議員のグリフィス、医師のジーグラー、ホテルオーナーのロングメイト、アメリカ人でフォイルの友人キーファー少佐。キーファーがヘイスティングズに来ることをフォイルは知らず、委員会で再会し驚きます。 ジーグラーはロングメイトに、名前に聞き覚えがあるから以前に会ったことがあるのではと言いますが、ロングメイトは会ったのは初めてだと答えます。
ロングメイトは目が悪いために兵役に就くことができなかった、その埋め合わせに自分の費用で戦勝の祝賀会を開く予定だと言います。
仕事を探すサムはフォイルに勧められ、ボランティアの募集をしているサーファ(復員軍人援護会)を訪ねます。サーファは、復員した軍人に情報や衣類を提供したり、家族を探したり、話し相手になったりと、仕事は多岐に渡ります。心に深い傷を負った人たちを相手にしなければなりません。サムは、サーファでボランティアの仕事をすることにします。フォイルの捜査についていく中、戦地で傷ついた人たちを目の当たりにしてきたサムは、そうした人たちの力になりたいという気持ちも強いのだと思います。
グリフィスは不眠に悩まされ、診察を受けるためにジーグラーの病院を訪れます。そこで、昔あったあることで自分は誰かに責められていると訴えます。キーファーも悪夢に悩まされよく眠れません。それは、海に浮かぶアメリカ兵の死体に囲まれている夢です。
フォイルは一人で釣りに出かけます。フォイルの釣りのシーンはひさしぶりです。生活が落ち着いてきていることがわかります。
釣りをしていると、突然アンドリューが現れます。アンドリューを見たときのフォイルは、嬉しいような泣きたいような、なんとも言えない表情をします。
「父さん。ここだと思った」
アンドリューが帰ってきました。暗い回が続いていましたが、フォイルとアンドリューの再会のシーン、2人で林の中を歩く後ろ姿、とてもよかったです。
家へ帰り、バーボンを飲みながら2人で話します。アンドリューは、死んでいった友達のことを思い出します。なぜ自分が生き残ったのかをいつも考えているというアンドリュー。そうだとしても、フォイルはアンドリューの無事に帰ってきたことを静かに喜びます。
アンドリューはサムのことが気になり、会いに行こうかなと言いますが、アンドリューがサムを手ひどく振ったことを知っているフォイルはいい顔をしません。2人がつきあっているとき、フォイルはもしかしたら、サムが義理の娘になると想像したこともあったかもしれませんね。2人が別れても大事な部下であることに変わりはないサムに、また傷ついてほしくないのだと思います。
ロングメイトの秘書をしているジャニスの夫エドワードが戦地から戻ってきました。しかし、何かを隠しているジャニスとはぎくしゃくし、戦地での生活から元の生活へと気持ちを切り替えることができません。エドワードはサーファを訪ね、担当となったサムと話します。
サーファでの仕事が初日のサムは通り一遍の応対しかできず、実は今日が初日でお茶を入れることしかできないと言います。それをきっかけに、エドワードは本音を話し始めます。飾らない態度で相手の心を開くのはサムの長所です。
「俺の戦友の半分は死んだ。死んだほうが楽だったよ。」
エドワードの言葉にサムは何も返すことができませんでした。
2度目の委員会後、ロングメイトは祝賀行事の準備があると最初に部屋を出ていきます。ジーグラーはフォイルに、話したいことがあるから署に伺いたいと声をかけます。
委員会からの帰り道、ジーグラーは誰かに刺されます。発見者はヘイスティングズ署のブルック。不当に高い価格で戦勝祝いのフラッグを売っている男を逮捕しようと、走って追いかけていたところを偶然見つけたのです。有能なのかどうなのかわからなかったブルックですが、全速力でヘイスティングズの石畳みの街を走り抜け、シーズン最後に活躍しましたね。
委員会の開かれていた博物館の学芸員助手のマイケル・ブラウンに話を聞くと、委員会の後最初に出てきたのはキーファー、次にグリフィスでした。
ジーグラーが殺害されたのと同じ日にグリフィスが自殺しました。フォイルたちはグリフィスの家へ向かい、彼の母親に話を聞きます。グリフィスが軍の通信隊にいたこと、ジーグラーが彼の主治医だったこと、玄関に虎の写真が貼ってあったり砂の入った封筒が送りつけられたりし、何かに怯えていたことを聞きます。
アンドリューが突然サーファに来ます。無事に戻ってきたことを知り、サムは笑顔を見せます。
アンドリューはサムに、ヘイスティングズにいるときにつきあっていた彼女(サムのこと)とヨリを戻したいとう相談をします。相手の職場でこんな相談をするとは、ちょっとずるいですよね。サムはヨリを戻すつもりはないことを伝えます。
ロングメイトへの捜査で、フォイルは目のことを聞きます。目のせいで兵役に就けなかったと言ったのに、眼鏡もかけていないことがフォイルは気になっていました。ロングメイトは、実は狭心症で、それが選挙で不利に働くのではと思い目が悪いと言ってしまったのだと答えます。
グリフィスとキーファーの関係が気になるフォイルはロンドンへ向かい、ヒルダと会います。
この人の登場はずいぶんひさしぶりです。私はヒルダ役の女優さんの声が好きです(吹き替えではなく演じている女優さんの方です)。落ち着いていてちょっと色気があって。
フォイルはヒルダに、前年にアメリカを巻き込み、グリフィスが関わった戦地で起きた何かについて情報が欲しいと頼みます。ヒルダは、公式には記録されていない「虎作戦」の情報をフォイルに渡します。
ミルナーは、ジャニスに話を聞きに行きます。以前、ミルナーがイーディスと一緒にいるとき、イーディスはジャニスに声をかけましたが、ジャニスは人違いだと答えたのが気になっていました。
ジャニスは上司のロングメイトとの間に一度だけ過ちを犯して子どもができてしまったというのでした。ロングメイトはおろすように言ったけれどジャニスはそれができず、出産した後母に預かってもらい、今は養子に出す手続きをしているところでした。ジャニスは夫のエドワードにそのことを知られることを恐れていました。
ジャニスがミルナーに話したことを、エドワードは聞いていました。しかしエドワードは、ジャニスのことを受け入れるように、彼女の手を握ります。
フォイルはキーファーに会い、ヒルダから情報を得た「虎作戦」について、直接話を聞きたいとキーファーに会います。
前年、ドイツのノルマンディー上陸に備えてアメリカ軍が演習をしていたとき、突然ドイツの魚雷艇が現れ、749名のアメリカ兵の死者が出ました。ドイツ軍が近づいているという警告はなされていたのに、そのタイプにミスがあり、アメリカ軍に警告が届かなかったのです。その警告ミスに関わっていたのがグリフィスでした。キーファーはそれを知り、グリフィスの家のドアに虎の写真を貼るなどの嫌がらせをし、グリフィスはそれに耐えられず自殺しました。
キーファーの話を聞いたフォイルは、ミスはグリフィス1人の責任ではないが、グリフィスの自殺についてキーファーを罪に問うことはできないと席を立ちます。
「戦争ってのは妙なもんだ。人を変える。影響を受けなかったのは君だけか。」
キーファーの言葉をフォイルはどんな思いで聞いたのでしょうか。
その後フォイルはロングメイトを訪ねます。ロングメイトは兵役を逃れるため、狭心症の者に金を渡し、自分の代わりに徴兵検査を受けさせていましたが、その検査を担当した医師がジーグラーでした。最初に目が悪いと嘘をついたのは、狭心症と言えばジーグラーが自分を思い出すのではないかと危惧したからでした。
ロングメイトは、ジーグラーがロングメイトの嘘に気づき、それをフォイルに伝えるのではないかと思い、ジーグラーを殺害したのでした。
事件も解決し、ミルナーは昇進の通知を受け取り、イーディスも無事出産、ラジオからはチャーチルの勝利宣言が流れ、祝賀ムードに包まれる中、フォイルは一人でヘイスティングズ署を出ていきます。
最後に
これで今シーズンの放送は終了です。ぜひ第6シリーズ以降も放送してほしいです。
もともとは英語の勉強になるかと見始めたドラマでしたが、ブログで感想まで書くほどストーリーにはまってしまいました。いつも感想を書くためにドラマを見直しますが、見るたびに新しい発見がある、とてもよくできたドラマです。
もっと少ない字数ですっきりとまとまった感想を書きたいのですが、ドラマを見直していると書き残したいエピソードが多くて長くなってしまう。読みにくい文章を読んでくださりありがとうございました。
現在再放送中の『刑事フォイル』は、印象に残った回だけでも感想を書いていこうかなと思っているところです。
ロンドン ホワイトホールで(2017.3)
ホワイトホールは、フォイルとヒルダが待ち合わせた通りです。写真はホースガーズの前で撮ったもの。
『刑事フォイル』について書いた記事