糸をほぐす

頭の中のからまった糸をほぐすように、文章を書いています。

『逃げ恥』を見て結婚と家事の関係について考えた

 『逃げ恥』を毎週楽しみに見ている。放送は第8回まで終わったところ。

第8回は、平匡さんに拒絶されたみくりちゃんが実家に帰ってしまい、2人が離れて自分と向き合う回だった。あいかわらず新垣結衣ちゃんはかわいかったけど、前半は中だるみ感があったように思う。あの夜の拒絶シーンを平匡さんバージョンとみくりちゃんバージョンで2回見て2回痛い思いをするのはつらかった。

1番よかったのは、平匡さんがみくりちゃんと電話で話すシーン。特に平匡さんがずっとコンプレックスだった女性経験がないことを伝えるところ。
コンプレックスを受け入れるのは難しいし、それを他人に伝えるのはものすごく勇気がいる。だけどこのコンプレックスを乗り越えなければ、みくりちゃんを傷つけ続けることになる。平匡さんはみくりちゃんと向き合うために、今まで「自分だけ」を見てきたことを反省し、コンプレックスという壁を壊した。心のテリトリーをみくりちゃんに向かって開いた重要なシーンだと思う。
大きな壁を越えて2人の関係はどう進展していくのか、次回が楽しみ。

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さて、第8回で「運命の相手にする」や「無料奉仕で家事」などのセリフを聞いて、「結婚と結婚生活における家事って何」とふと思ったので、ちょっと考えてみようと思います。

自分のことに関していえば、私は結婚願望があまりない。仕事して家事して、ひとり暮らしでもすごく大変なのに、2人分の家事をこなすなんて私には無理だと思う。小さい頃に母が子育てと家事に追われてキーッとなっているのを見ていたから、そう思うのかもしれない。
そういえば、今まで2人の人から「君との結婚生活を想像できない」という理由で別れを告げられた。やっぱり私は結婚向きの女ではないのだなあと妙に納得した。すごく悲しかったけどさ。

みくりちゃんと平匡さんがほかの夫婦と違うのは、契約結婚をしていて家事に対して報酬を払っているということ。この先2人が恋愛関係になって入籍しようということになったら、きっと家事に対して報酬は発生しない。
一般的には、家事は女性がやることが多い。私のまわりでも、飲み会のとき「だんなの夜ごはん作ってから来た」という友達はけっこういる。

男の人はどう思っているんだろう。
あるタレントさん(男性)が「どんなときに結婚したいと思うか」という質問をされたときに、「夜暗い家に帰ったとき」とか「忙しくて掃除や洗濯がなかなかできなかったとき」とか答えているのをTVで見たことがある。帰ってきたとき家が明るかったら確かにほっとするけど、掃除や洗濯はそれこそ家事代行を頼んでみては、と思う。男の人が結婚するのは相手に家事をしてもらうため?
別のタレントさん(こちらも男性)が「結婚したら相手にどんなことをしてほしいか」という質問をされたときには「目が覚めたとき、包丁のトン、トンという音が聞こえたら嬉しい」と答えていた。これはわかる。『逃げ恥』でも、平匡さんがみくりちゃんの握る包丁の音で目が覚めるというシーンがあった。朝の包丁の音は、子どもの頃に母親が握っていた包丁の音を思い出させる、穏やかで安心できる幸せの音なのだ。その音をもう一度聞きたいということは、その記憶を再現したいということなんだろう。だからこの音を聞きたいのはきっと男も女も同じなのに、包丁を握るのは女の方で、男はそれによる記憶の再現を享受する。この役割分担は、朝の包丁に限ったことなのか?

ここまで考えて、そうかと思う。
結婚するということは、幸せな記憶の構築をするということなんじゃないか。
そう考えると、清潔な衣服と部屋、安心して口にできる食事を提供する家事は、幸せな記憶の構築ための行為ということになる。

ここで先ほどの疑問に戻ってみる。家事は女がするべきものなんだろうか?
結婚が幸せな記憶の構築のためにするもので、家事はそのための行為だとすれば、家事は女がするべき、いや男もするべき、という問題ではないんじゃないか。どちらかがして、どちらかが享受するというのは、とてもアンバランスな関係だと思う。結婚=幸せな記憶の構築は、構築する側とそれを享受する側ではなく、お互いに努力してやっていくことなのではないか。
お互いの努力。これはみくりちゃんのお母さんの「意志がなきゃ続かないのは、仕事も家庭も同じ」という言葉にも通じてくる。
そう意志が大事。やはり享受するだけではダメなんだ。

それにしても。結婚してないしその予定もない人間が結婚と家事との関係について考えると、机上の空論だな、やっぱり。
最近の私は、毎週みくりちゃんの仕事ぶりを拝見しているからか、日曜日に今までよりちょっとだけがんばって掃除をしている。みくりちゃん、ありがとう!ほんのちょっとだけ部屋がきれいになりました。


『逃げ恥』について書いた記事
umisoma.hatenablog.com
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