糸をほぐす

頭の中のからまった糸をほぐすように、文章を書いています。

『アンナチュラル』第4、5回 働く理由、答えの出ない問い

走る。食べる。アンナチュラる。

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「アンナチュラる」とは、不自然な状況をつくること?不自然な状況を容認すること?

 オープニングから毎回「アンナチュラる」とは、という疑問が生じわけですが、楽しみに見ています。

 ひさしぶりのドラマレビュー、今回は気になったところだけちょこっと書いていきます。

 

人には言いたくない過去をもつ女ミコト(石原さとみさん)、自分の欲求に正直な女東海林(市川実日子さん)、謎めいた男中堂(井浦新さん)、仕事仲間には言えない別の仕事している男久部くん(窪田正孝さん)。4人が働くUDIラボは、不自然死を遂げたご遺体を解剖し、死因を調べる研究所。

石原さとみさんと市川実日子さんとの組み合わせに、その手があったか、と。4人を取り巻く役者さんたちも個性があり、飽きない。UDIラボの所長神倉さんを演じる松重豊さんの安定感、ミコトの母夏代を演じる薬師丸ひろ子さんの独特の存在感。一度見たら忘れられない池田鉄洋さんや『ひよっこ』での好演が記憶に新しい竜星涼さんも出演されています。

なかでも薬師丸ひろこさん、彼女は決して安定しない。いつもすこーし浮いてる(薬師丸さんはどこに出ててもすこーし浮いてる、もちろんほめ言葉)のがいいスパイスになってる。「コンコンチキ」という言葉を違和感なく言える女優さんはそうはいない。

 

第4回。UDIラボにいつのまにか貼られていた脅迫状。

「お前のしたことは消えない。裁きを受けろ」

脅迫状は自分あてだと言う中堂に、自分あてだという根拠はあるのかとミコトは詰め寄る。中堂は、過去に受け取った何枚もの脅迫状を(なぜか)バッグの中から出し、ミコトに見せる。

「どんな罪を犯したんですか」

と問うミコトに対する答えは

「罪のない人間なんているのか?」

ずるいな中堂。このシーンはここで切れるけど、ミコトはこの答えで納得したんだろうか。しないよねぇ。 

 

「人は皆罪人で、罪をあがなうために働いているって。だから1分でも早く仕事を終わらせて家に帰る」

仕事帰り、ミコトは久部くんにそう話ながら歩く。長く働いている人は、重い罪を犯したということになるだろうか。仕事場に入り浸る中堂の罪は重いのだろうか。

久部くんにどうして働いているのかと訊かれ、

「生きるため」

とミコトは即答する。ミコトに同じことを訊かれ、まだ夢とか見つかってないと言う久部くんを見るミコトの表情がいい。そんな時期もあるよね、でもだいじょうぶ。

 

そういえば最近ある人に「相馬さんは何のために仕事してるの?」と唐突に聞かれた。

何のために仕事をしているのか。ミコトのように即答できたらいいのに。

 

第5回、海で溺死した女性を解剖する必要がないのに、死因を調べることをやめようとしない中堂にミコトは言う。

「納得のいく説明をしてください。」

納得という言葉をミコトはよく口にしている。

ミコトが子どもの頃、母は家族に睡眠薬を飲ませ、練炭による一家心中を図った。ミコトだけが生き残った。母はなぜそんなことをしたのか。

ミコトが二十歳になってから、育ての母である夏代から、両親の仲がうまくいっていなかったことを聞いた。

「それで一応納得…納得はしてないけど、整理はできた。」

納得することが、ミコトにとっては大事なことなのだ。相手の言動を理解することと納得することは違う。

理解は頭でする、納得は腹に落ちる。きちんと納得するのはときどき難しい。

 

答えの出ない問い。

答えの出ない問いの答えを見つけられることなんて、ほぼないんじゃないかと思う。もし見つけられたとしても、それが全てを解決するわけではない。

自分の恋人を海に突き落とされた鈴木くん(第5回の依頼者)が、その犯人であるまゆちゃんの動機が嫉妬だったと知って、殺意を抑えられなかったように。

答えの出ない問いを抱えていることは苦しい。が、それを抱えずに生きていくことなんて、できないように思う。

 

あ、思ったんだけど、「アンナチュラる」は『アンナチュラル』を見る、という意味?