『宙わたる教室 8 メテオライトの憂鬱』感想
現在放送中のドラマ『宙わたる教室』を見ています。
今回、岳人(小林虎之介さん)が感情を吐き出す場面では、感情を出さない藤竹(窪田正孝さん)との対比が秀逸でした。お2人の演技にも注目しています。
科学部が目指す学会まで1か月あまりとなり、実験に没頭していく岳人。大学入試の際にディスレクシアについての配慮がされる聞き、大学という選択肢が岳人の中に現れます。それはだんだんと大きくなっていき、岳人に研究者になるという夢を見せるようになります。
しかし、岳人が夢を目標に前へ進もうするほど、過去の影が追ってきます。過去に岳人がつるんでいた三浦が、岳人を自分たちの仲間へと引き戻そうとします。 三浦から見たら、岳人は自分と同じ世界にいたはずです。それは夢を持つことを諦めた世界です。三浦は、岳人が高校で科学部の実験に熱中していることに、嫉妬と裏切られたという気持ちを感じているのだと思います。
物理準備室でアンジェラと佳純が話をしていると、三浦が仲間と一緒に突然現れ、暴れ出します。部屋は荒らされ、実験装置は壊されます。
それを見た岳人は怒りを爆発させ、岳人の過去のつきあいを責める長嶺と衝突します。
エピソード7ではうまくいっていた岳人と長嶺でしたが、実験を焦る岳人とそれをたしなめる長嶺はかみ合いません。
そして岳人は、科学部が空中分解するきっかけを作ってしまいます。
意見の合わない長嶺に岳人がつかみかかり、それを見ていた佳純は過呼吸になります。
その日から佳純は保健室登校に戻り、ムードメーカーだったアンジェラも科学部に来なくなります。
岳人を心配する長峰は、岳人が研究者になる夢を持ったことを藤竹に話します。それを聞いて藤竹は驚きます。年長の長峰は夢を実現することの大変さを知っていて、その言葉は重いです。
「身の丈に合わないことをしようとする人間には、世間は厳しい。」
「身の丈って何ですか?」と聞き返す藤竹に、生まれ、境遇、才能などのことだと長峰は答えます。
藤竹は、おそらくそういうことなど関係のないところからも科学は発展できるという信念を持っているのではないでしょうか。 恩師である伊之瀬と同じように、科学の裾野を広げたい。その信念を否定するような長峰の言葉を、藤竹は長峰の顔を見ずに聞きます。
「夢に向かって必死になればなるほど、それが破れた時の傷は深いだろう。次にまた大きな挫折を味わったら、どこまで落ちていくか分からん。」
岳人に期待をさせて本当にいいのかと長嶺に聞かれ、長峰の顔を見る藤竹。そして何も言わず視線をそらし考える藤竹は、教師という仕事の重さにようやく気付いたのかもしれません。
藤竹は、1人で壊れた装置の修理をしている岳人のもとへ行きます。装置は修理できておらず、岳人は机の上に横になっていました。
ディスレクシアの岳人は今まで頑張っても報われず、頑張ることをやめて生きてきました。
でも藤竹と出会ってから学ぶことの楽しさを知り、藤竹みたいになれるんじゃないかと夢を見ていたと話します。諦めることは慣れていたはずなのに、
「諦めるのって・・・。やっぱつれえわ。」
実験をやめるつもりですかと聞く藤竹に何も言わず、部屋を出ていく岳人。
過去から変わったつもりでいたけれど、何も変わっていない自分。その無力感の重さ。
長峰が心配していたように、これからの岳人がどんな道をとるのか心配になります。
火星探査機「しののめ」のプロジェクトリーダーで、藤竹の大学時代の同期の相澤は、夢だった火星探査機の開発に携わっています。
「しののめ」計画の期限に間に合わせようと時間を惜しんで仕事をしていますが、それでも勤務しているJAXAにやってきた見学の子どもたちの質問に答えるときには、その表情は生き生きしています。「しののめ」計画がうまくいかずに怒ったり、藤竹の現状に苦言を言ったりしていた彼の明るい顔をはじめて見たような気がします。
相澤は、子どもたちのまっすぐな目を見て、かつて夢だけを追って研究を続けていたころの自分を思い出しているのかもしれません。夢だった仕事につきそこで終わるのではありません。夢を追いたいという気持ちと、夢だけではやっていけないという気持ちに葛藤するのが相澤の姿だと思います。
そして夢を追うのを捨てて、仕事をするのが石神。彼女には彼女なりの理論があるのだろうと思います。だから、ずっと夢を追っているような生き方をする伊之瀬や藤竹に対して、反感を持ってしまうのかもしれません。
藤竹は、生徒とずっと一定の距離を保ってきたエピソード1と比べると、教師らしくなってきました。
自分の信念を証明するために「実験」を続ける藤竹ですが、その信念が周りの人に与える影響を考えざるを得ません。
長峰と岳人の話を聞いた藤竹は、何を思っているんだろう。
次回も楽しみです。