糸をほぐす

頭の中のからまった糸をほぐすように、文章を書いています。

『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』感想

ゾンビって、私はあまり接点がないのだけど。

街中を歩いていて、ゾンビが押し寄せてくるところを想像してみる。たとえば、満員電車に乗っているのが全員ゾンビだったら。高層ビルで上下階からゾンビが押し寄せてきたら。あああ。到底逃げられない。

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ゾンビの何が怖いって、噛まれたらゾンビになる=自分ではない何か、自分ではコントロールできない何かになってしまうこと。自分の意志とは関係なく、灰色の顔で白目をむき、口からはどろっとした緑の液体を吐き出し、カクカクと歩きながら人に噛みつこうとする。

 

明日もあんたたちがあんたたちでいなくちゃいけないっていう理由があるなら、無理やりにでも自分を奮い立たせてそこに進むべきじゃないのかい?

異色のドラマだった。おもしろいのか、おもしろくないのかも、よくわからないような。でも最後まで見てしまった。

 

私たちは、私たちであるべきだ。私たちは、私たちだったのだから。

「自分が自分でいる」というのは、そもそも何なんだろう。人間とゾンビの違いを考えると、自分の意志で自分をコントロールできるということだ。自分をコントロールできるのが人間、でもときどきそれを失う。それは、自分をコントロールするには意志の強さが必要で、その強さを持ち続けることはしんどくて、例えば自分の中の怒りとかまわりの雰囲気とか他人の思惑に流されてしまった方が、たいていは楽だから。そのときは。

 

最後の最後、最強の新薬が出てきて、みんなゾンビから人間に戻ってハッピーエンド、というのを予想していたんだけど、そうじゃなかった。彼らは隔離された町でゾンビとして暮らしている。希望はある、でも問題は解決していない。それは現実と同じ。