糸をほぐす

頭の中のからまった糸をほぐすように、文章を書いています。

『SHERLOCK』シャーロックとジョンの関係を読む(シーズン2-3)

最終回を目の前にして、このテーマは今さらなんだけれど。

やっぱり書いておこうと思う。

 

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シーズン1でシャーロックとジョンの関係は、お互いに探り探り近づいていく過程だった。

シーズン2では、シャーロックはジョンに対して気持ちを言葉で伝えようとするくらいに成長している。バスカヴィルでは傷つけたジョンにお世辞を言って機嫌を取ろうとする。

シーズン1で無神経なシャーロックに腹を立ててばかりいたジョンは、シーズン2では、シャーロックはこういうやつなんだと彼を受け入れ(あきらめ)、シャーロックの扱い方を心得てきている。無神経なシャーロックを受け入れられるのは、シャーロックが自分を1番に思っていることをわかっているからだと思う。相手から向けられる愛情の深さで、相手の欠点を許せる容量は変わる。

そんなふうに大事に思っている友達が死んでしまう。ジョンのシャーロックのお墓の前での告白(あれは愛の告白にしか見えない!ライヘンバッハのエピソードでは、シャーロックはモリアーティとジョンに告白されるのだ)は、何度見てもじんと来る。

 

シャーロックの自殺偽装は、ジョンからすれば、シャーロックに対する信頼を拒絶されたようなものだったと思う。.

ロンドンへの帰還をジョンが喜んで迎えてくれると思っていたシャーロックだったけれど、戻ってみればジョンは自分をなかなか許してくれないし、メアリーという女性がジョンのそばにいる。原作でワトスンがホームズの帰還を迎えたようにはいかない。

BBCのドラマ『名探偵ポワロ』の『ビッグ・フォー』の回で、死んだと思っていたポワロが帰還したときに相棒ヘイスティングスが驚き喜んで迎えたようにもいかない。このあいだこのドラマの録画を見ていたら、マイクロフト役のマーク・ゲイティスと彼のパートナーのイアン・ハラードの名前が画面に出てきて驚いてWikiで調べたら、『ビッグ・フォー』はこの2人が脚本を書いたらしい。どうにも、ヘイスティングスがジョンに、ミス・レモンがミセス・ハドソンに、ジャップ警部がレストレードに見えてしまった。)

 

モリーを助手に事件を調べながらも、頭の中でジョンの声が聞こえてついそれに返事をしてしまうシャーロック、医者の仕事をしながらも今頃シャーロックは調査をしているだろうと考えてしょっちゅう時計を見てしまい、あげくのはてに診察に来た老人をシャーロックと間違えてしまうジョン。もう、早く会えばいいのにー。

マグヌセンによるジョンの危機をシャーロックが救うことで、2人はまた一緒に事件の調査を始める。だけど人は、相手に拒絶されたと思ったあと、その相手を100%許すことなんてできるんだろうか。人とのつきあいを長く続けていくには、相手を100%許せなくてもそのことまで含めて相手を受け入れていかなければいけなくて、ジョンはきっとシャーロックに対してそうすることを選んだのだと思う。

結局ジョンはシャーロックを許すしかないか。自分がメアリーと結婚することで、ジョンとの関係が変わってしまうんじゃないかと子どものように不安になっているシャーロックを見たら、許さないわけにはいかない。それに結婚式でのシャーロックのスピーチ。建前を言わないシャーロックだと知っているからこそ心を動かされる。

 

S3E3で、シャーロックがメアリーをレンスター・ガーデンズの隠れ家に呼び出してメアリーの射撃の腕前を試し、メアリーのジョンに対する気持ちを確認する。メアリーがマグヌセンの部屋でシャーロックを撃ったときにわざとはずしたのなら、メアリーはジョンを守るためにシャーロックを撃ったのだとわかるから。

メアリーがジョンとの結婚を隠れ蓑にしたかっただけなのか、本当にジョンを思っているのか、結果は後者だったけれど、それをシャーロックに告白するところをジョンに見せるなんて、ジョンにとっては酷なことをするよなあ、シャーロックも。ジョンを思ってしたこととはいっても。

ジョンとメアリーを守るために、シャーロックはマグヌセンを撃ってしまう。今まで、誰かを、何かを撃つのはジョンの方だったのに。

 

 

 

ああそれにしても『SHERLOCK』、本当に終わってしまうんだなあ。

余談です。たまっていたポワロシリーズの録画を最近見ているのだけど、『死との約束』の回にマーク・ゲイティスが出演していた。この人の身のこなしは独特だよなあ。顔が映らなくても彼だとわかる。エルキュール・ポワロとマイクロフト・ホームズを同じ画面で見られるなんて贅沢だ。

 

 『死との約束』には、人は運命から逃れることはできないというたとえ話として、あるエピソードが出てきます。

ダマスカスの酒場で飲んでいた男がふと目を上げると死神が彼を見つめていた。男は、まだ死ぬはずがないと叫び、馬を急がせてサマラへやってきた。のどが渇いて井戸に向かうと、そこには死神が立っていた。死神と再会した男は、お前から逃げてきたのにこんなはずはないと叫んだ。死神は言った、ダマスカスで会った時私も驚いた、お前とはダマスカスではなくサマラで会う約束だったから。

 

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