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糸をほぐす

頭の中のからまった糸をほぐすように、文章を書いています。

『刑事フォイル 疑惑の地図』

ドラマ

『刑事フォイル 疑惑の地図』の感想を書いています。第5シリーズ第1話(NHK BSプレミアムでは2017年2月5日、2月12日放送分)です。

 

3月11日(土)~  第1シリーズからの再放送が始まるそうです!

www9.nhk.or.jp

 

あらすじ

<前編>

1944年4月。ドイツの敗戦が濃厚となる中、連合軍はドイツ本土への爆撃を続けていた。爆撃に使用する地図を作製していた空軍省の施設では、自分が作った地図のせいで罪のない人々が死んでいると悩む青年がいた。彼はドイツ人であるケプラー神父に心のうちを相談していたが、自殺未遂を繰り返す。一方、ヘイスティングズ署には新たな警視正が着任するが、署員の士気は下がるばかり。

<後編>

フォイルはパーキンズ警視監に説得され、一時的にヘイスティングズ署に復帰。さっそくヘンリーとメレディスの事件の捜査に取りかかる。ミルナーは運送詐欺事件の容疑者を取り調べていく中で、協力者に空軍省の施設関係者がいることをつきとめる。一方、サムはヘンリーの女友達から有力な情報を聞き出していた。

NHK 海外ドラマHP 『刑事フォイル』これまでのあらすじ より

 

詳しいあらすじと感想

フォイルの退職後、サムは警察をやめ、ミルナーは警察の仕事を続けています。

ミルナーは、運送詐欺をしていたビル・バートンという男を逮捕しましたが、彼は自分の友人たちが挨拶周りにくるかもしれないとミルナーを脅します。運送詐欺には軍内部に協力者がおり、この頃には軍も腐敗していたことがわかります。

ミルナーはフォイルの後任の警視正メレディスとうまくいっておらず、異動願を出そうと思っていることをフォイルに話します。その帰り、ミルナーは走ってきたトラックにひかれそうになります。ミルナーたちはバートンの仲間がやったのではないかと疑います。

サムの新しい勤務先ビバリーロッジでは、ドイツ爆撃のための地図を作製していました。そこで働いているヘンリーは、ドイツの町を爆撃し、民間人まで殺してしまう作業に加担していることに罪の意識を持っており、その悩みを教会の牧師ケプラーに相談していました。ケプラーは敵国ドイツからの亡命者でしたが、ヘンリーはケプラーを信頼していました。

ある日、ヘンリーは仕事中にドイツの町ホッホフェルトハウゼンの地図を見て、あることに気づき、ビバリーロッジを出ていきます。その後、ヘンリーは森の中で木にぶら下がった死体となって発見されました。ヘンリーのポケットにはホッホフェルトハウゼンの写真が入っていました。ミルナーは、一見自殺と見えるヘンリーの死を他殺と見立てます。

ミルナーの捜査では、ケプラーはホッホフェルトハウゼンという場所は知らない、イギリスに来る前はミュンヘンの教会にいたと言います。 

ある夜ミルナーとメレディスが帰ろうと署を出たところを、メレディスは銃で撃たれ、ミルナーを「チャーリー」と呼び、死んでいきます。

チャーリーとは、メレディスの息子のことでした。メレディスは戦争で2人の息子を失い、生きる気力を失くしていました。メレディスはもとは有能な人でしたが、戦争の影響で変わってしまったのでした。ミルナーを息子と思って死んでいったことを「せめてもの救いだ」と言うフォイル。戦争の影がこんなところまで来ていました。

再び警視正の席が空いてしまい、警視監パーキンスはフォイルを訪ねます。パーキンスが要件を言う前にフォイルは何を言われるか察し、

「結論から言うと、お断りします」

と言います。しかし、パーキンスは今までのことを詫び

「君の他にはいないんだ」

とフォイルを説得します。前回の『戦争の犠牲者』でフォイルの代わりはいくらでもいると言ったパーキンスに、ようやくそれが間違っていたと認めさせることができました。フォイルは警察へ復帰します。

サムは、ヘンリーが同じ職場のアダムの秘密を握っていたことを突き止め、ヘンリーを殺した犯人はアダムではないかと疑います。サムはそのことをフォイルに伝えます。警察を退職しても、サムはいい仕事しますね。

ケプラーが何かを隠していると疑うフォイルですが、ケプラーはヘンリーが死んだ日にヘンリーと会っていないし、ホッホフェルトハウゼンという町も知らないと言います。

捜査を進めると、バートンの情報からビバリーロッジのフォースター中佐が運送詐欺に関わっていたことがわかりました。バートンはそのことでフォースターを脅迫し、自分の甥のアダムをビバリーロッジで雇わせていました。フォースターはヘンリーを殺していませんでしたが、能力のないアダムに地図を作らせて飛行機の搭乗員を危険にさらし、運送詐欺で戦争に使うお金を着服していたことについて、いずれ処置が下るとフォイルに言われます。

「よかった。ホッとした。正直、この日を待っていた。人生をやり直せたらとよく考える。恥ずかしく思っています。」

フォースターはフォイルに言います。負け惜しみなのでしょうか、それとも本心なのでしょうか。

ビバリーロッジから出ようとしたフォイルはウォーターロウという男性に呼び止められます。彼は空軍情報部所属で、ビバリーロッジからドイツに情報が洩れている疑いがあり、その調査のためにビバリーロッジに入り込んでいた人物でした。彼はフォイルの捜査に協力すると言い、ケプラーの供述書を見せました。それには、ケプラーはホッホフェルトハウゼンに5年間いたと記されていました。フォイルはホッホフェルトハウゼンの写真を確認し、ヘンリーが殺された日にケプラーに会おうとした理由と誰がヘンリーを殺したのかに気づきます。

フォイルは教会にケプラーを訪ね、ケプラーの供述書とミルナーに対する答えの矛盾を問い詰めます。ミルナーがその矛盾に気づく前に、ケプラーミルナーを殺そうとし、誤ってメレディスを撃ってしまったのです。ヘンリーも写真を見てホッホフェルトハウゼンに教会がないことを知り、ケプラーが仕事の悩みを聞くふりをして自分を裏切り、ドイツに情報を流していたと気づきました。ヘンリーを殺したのはケプラーでした。

「私は悪人じゃない。任務を果たしただけ。それはあなたが任務を果たすのとまったく同じだ」

というケプラーにフォイルはとりあわず、

「そういう詭弁に興味などない」

と告げます。銃を向けるケプラーに、外で待つと言いフォイルは背中を向けます。今までの話の中でも、こんなに緊迫感のあるシーンは初めてだと思います。

直後、ケプラーは銃で自殺します。

 

 シリーズも中盤に入り、書かれる内容が変わってきたように思います。長引く戦争が人の心にどう影響しているのかが書かれるようになってきました。 

宗教による救いはもう傷ついた人々の心に届かなくなってきています。大事な人が戦争で命を奪われ、「汝の敵を愛せ」というキリスト教の教えを信じることができません。

 そんな中、 ヘンリーの信仰心を利用したケプラーの行為は、許すことのできないことです。けれど、この人も戦争に勝つために任務を果たすという、国が唱える正義の犠牲になった人物と言えるのかもしれません。

今回もやはりサムのキャラに救われました。フォイルが警察に戻ったら、相談もせずさっさとビバリーロッジをやめてフォイルの運転手に復帰したり、フォイルは困った顔をしながらも嬉しいでしょうね。

 

『刑事フォイル』について書いた記事

 

umisoma.hatenablog.com