『SHERLOCK』シャーロックとジョンの関係を読む(シーズン2-3)
最終回を目の前にして、このテーマは今さらなんだけれど。
やっぱり書いておこうと思う。
シーズン1でシャーロックとジョンの関係は、お互いに探り探り近づいていく過程だった。
シーズン2では、シャーロックはジョンに対して気持ちを言葉で伝えようとするくらいに成長している。バスカヴィルでは傷つけたジョンにお世辞を言って機嫌を取ろうとする。
シーズン1で無神経なシャーロックに腹を立ててばかりいたジョンは、シーズン2では、シャーロックはこういうやつなんだと彼を受け入れ(あきらめ)、シャーロックの扱い方を心得てきている。無神経なシャーロックを受け入れられるのは、シャーロックが自分を1番に思っていることをわかっているからだと思う。相手から向けられる愛情の深さで、相手の欠点を許せる容量は変わる。
そんなふうに大事に思っている友達が死んでしまう。ジョンのシャーロックのお墓の前での告白(あれは愛の告白にしか見えない!ライヘンバッハのエピソードでは、シャーロックはモリアーティとジョンに告白されるのだ)は、何度見てもじんと来る。
シャーロックの自殺偽装は、ジョンからすれば、シャーロックに対する信頼を拒絶されたようなものだったと思う。.
ロンドンへの帰還をジョンが喜んで迎えてくれると思っていたシャーロックだったけれど、戻ってみればジョンは自分をなかなか許してくれないし、メアリーという女性がジョンのそばにいる。原作でワトスンがホームズの帰還を迎えたようにはいかない。
(BBCのドラマ『名探偵ポワロ』の『ビッグ・フォー』の回で、死んだと思っていたポワロが帰還したときに相棒ヘイスティングスが驚き喜んで迎えたようにもいかない。このあいだこのドラマの録画を見ていたら、マイクロフト役のマーク・ゲイティスと彼のパートナーのイアン・ハラードの名前が画面に出てきて驚いてWikiで調べたら、『ビッグ・フォー』はこの2人が脚本を書いたらしい。どうにも、ヘイスティングスがジョンに、ミス・レモンがミセス・ハドソンに、ジャップ警部がレストレードに見えてしまった。)
モリーを助手に事件を調べながらも、頭の中でジョンの声が聞こえてついそれに返事をしてしまうシャーロック、医者の仕事をしながらも今頃シャーロックは調査をしているだろうと考えてしょっちゅう時計を見てしまい、あげくのはてに診察に来た老人をシャーロックと間違えてしまうジョン。もう、早く会えばいいのにー。
マグヌセンによるジョンの危機をシャーロックが救うことで、2人はまた一緒に事件の調査を始める。だけど人は、相手に拒絶されたと思ったあと、その相手を100%許すことなんてできるんだろうか。人とのつきあいを長く続けていくには、相手を100%許せなくてもそのことまで含めて相手を受け入れていかなければいけなくて、ジョンはきっとシャーロックに対してそうすることを選んだのだと思う。
結局ジョンはシャーロックを許すしかないか。自分がメアリーと結婚することで、ジョンとの関係が変わってしまうんじゃないかと子どものように不安になっているシャーロックを見たら、許さないわけにはいかない。それに結婚式でのシャーロックのスピーチ。建前を言わないシャーロックだと知っているからこそ心を動かされる。
S3E3で、シャーロックがメアリーをレンスター・ガーデンズの隠れ家に呼び出してメアリーの射撃の腕前を試し、メアリーのジョンに対する気持ちを確認する。メアリーがマグヌセンの部屋でシャーロックを撃ったときにわざとはずしたのなら、メアリーはジョンを守るためにシャーロックを撃ったのだとわかるから。
メアリーがジョンとの結婚を隠れ蓑にしたかっただけなのか、本当にジョンを思っているのか、結果は後者だったけれど、それをシャーロックに告白するところをジョンに見せるなんて、ジョンにとっては酷なことをするよなあ、シャーロックも。ジョンを思ってしたこととはいっても。
ジョンとメアリーを守るために、シャーロックはマグヌセンを撃ってしまう。今まで、誰かを、何かを撃つのはジョンの方だったのに。
ああそれにしても『SHERLOCK』、本当に終わってしまうんだなあ。
余談です。たまっていたポワロシリーズの録画を最近見ているのだけど、『死との約束』の回にマーク・ゲイティスが出演していた。この人の身のこなしは独特だよなあ。顔が映らなくても彼だとわかる。エルキュール・ポワロとマイクロフト・ホームズを同じ画面で見られるなんて贅沢だ。
『死との約束』には、人は運命から逃れることはできないというたとえ話として、あるエピソードが出てきます。
ダマスカスの酒場で飲んでいた男がふと目を上げると死神が彼を見つめていた。男は、まだ死ぬはずがないと叫び、馬を急がせてサマラへやってきた。のどが渇いて井戸に向かうと、そこには死神が立っていた。死神と再会した男は、お前から逃げてきたのにこんなはずはないと叫んだ。死神は言った、ダマスカスで会った時私も驚いた、お前とはダマスカスではなくサマラで会う約束だったから。
『SHERLOCK』それぞれの孤独
シャーロックとモリアーティの感じている孤独について考えていた。このドラマは、人の孤独についても描かれていると思う。
シャーロックとモリアーティ、知能の高い彼らにとって世界は退屈。自分を満足させるレベルのものに出会いたいという欲求を抱えている。モリアーティにとってそれはシャーロックだった。退屈な世界の中で出会えた自分と同じ人、なんてこれはもう運命の人だ。言うまでもなく。
S2E3『ライヘンバッハ・ヒーロー(The Reichenbach Fall)』、このエピソードでは"owe"という単語が出てくる。見ていてふと思ったのは、この"owe"はここではほとんど"love"と同じ意味なのではないか。love youとI owe you、並べて見ても似てる。
頭の中で単語を置きかえながら見てみると、221Bを訪れたモリアーティがシャーロックの目を見て言う
「I owe you. 」
はなんというまっすぐな告白。
赤いリンゴに書かれた
I O U.
はラブレターか。他の果物ではなくリンゴというところが、アダムとイヴの罪の果実やら島崎藤村の『初恋』やら(こちらは日本人だけでしょうが)を連想し、ロマンチックでありなんとなくエロティックですらある。
この"love"が恋愛感情なのかはさておき、広い意味での愛ではあるんだろう。
ジョンもシャーロックのお墓の前で、死んだ(と思っている)シャーロックに対して同じ単語を使っている。
「I was so alone.And I owe you so much.」
ここも"owe"を"love"に言いかえても違和感がなく、泣ける。
マーティン・フリーマンの演技はすばらしい。このお墓のシーンもそうだし、結婚式でシャーロックのスピーチに徐々に心が動かされていく様子も何度も見てしまう。何度見てもぐっと来る。
モリアーティはきっと惰性で生きていた。彼が携帯の着信音にしている『Stayin' Alive』はなんとか生きる側にいようという意志だったのかもしれない。生きるか死ぬか、どちらを選ぶべきなのか、がモリアーティのthe final probremだった気がする。それはシャーロックも同じだと彼は考えていた。
モリアーティに生きる理由を見つけてくれるとすればシャーロックしかいない。ヒーローには悪役が必要。シャーロックにはモリアーティが必要。モリアーティはシャーロックに必要とされたかった。
シャーロックが病院の屋上から飛び降りなければ、ジョン、ハドソン夫人、レストレードを殺すと言われ、シャーロックはモリアーティに3人を殺す命令を止めさせようとする。
「I may be on the side of angels,but don't think for one second that I am one of them.」
ここでのモリアーティの感情の動きがわからない。太陽の光のせいで後光がさしているようなシャーロックを見て何を考えたんだろう。
「You are me.Thank you,Sherlock Holmes.Bless you.」
結果的にシャーロックがモリアーティに渡したのは生きる理由ではなく、死ぬ理由だったのだと思う。モリアーティは計画を遂行するために自らの死が必要だと思った。最後の問題の答えをシャーロックが見つけてくれたことに対するThank youではないかと思う。
それにしてもこのシーンの2人、顔近いな(笑)。
シャーロックとモリアーティの大きな違いは、ジョンという存在がいること。
シャーロックには生きる理由がある。天使の側にいる理由もある。
彼が抱える孤独は、ジョンが離れていくことで大きくなる。モリアーティの孤独がひとりでいる孤独なら、シャーロックの孤独は一緒にいたい人が一緒にいない孤独。
他人と向き合って生きていきたいと思うなら、孤独とも向き合わなければいけない。相手の不在は、物理的にその人がいないことでもあるし、その人の心が自分向けられていないということでもある。
S3E1『空の霊柩車(The Empty Hearse)』、221Bでのシャーロックとマイクロフトの会話。
「I'm not lonely,Sherlock.」
と言うマイクロフトにシャーロックは
「How would you know?」
と問う。友達がいたことがないマイクロフトが本当の孤独を知るはずはないと言いたいのか。ひとりの孤独よりも、ジョンがいない孤独の方が深いと知ったシャーロックだから言えたことだ。
ところでこの会話、いつぞやのお返しだろう。あのとき
「Sex doesn't alarm me.」
と言ったシャーロックを
「How would you know?」
とマイクロフトは鼻で笑ったのだった。そのセリフをそのまま返すなんて、シャーロック、けっこう根に持ってたのね。
ついに日本でもシーズン4の放送が始まりました。続きが見たい、でも最後まで見てしまうのはやっぱりさびしい。
2017年3月、ロンドンのシャーロックホームズミュージアム前で撮影。
妄想と幻想を浮遊する
通勤中の電車の中でふと思った。
妄想と幻想の違いって何だろう。
ウィキペディアで調べてみると、妄想とは
その文化において共有されない誤った確信のこと
らしい。
ますますわからない。共有されない誤った確信って何だ。
彼は私のことを好きに違いない、ようなものだろうか。
幻想は、美しい幻?心がとらわれるような。
もし、美しい幻にとらえられてしまったら、そこから逃れることなどできるだろうか。『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ著)で本の中の世界へ行ったバスチアンのように、自分のすべてを失いかけるまで元の場所に戻って来られないのか。『黒い本』(オルハン・パムク著)で失踪した妻を追うガーリップのように、自己と他者との境界があいまいになりアイデンティティが崩れていくのか。
・・・こんなことを考えるのも、妄想と呼ぶだろうか。うーん。
だけど、美しい幻の中で、誰にも共有されない誤った確信を持って、ふわふわと漂っていたいときもあるよね。
ちゃんと現実に戻って来られるなら、それとも、現実と妄想・幻想との境界線を平和的に融解できるなら、そんな時間をもつのもいいんだろうな、なんてことをふわふわと考えた。
1人の孤独と誰かといるときの孤独
再放送中のドラマ『SHERLOCK』シーズン2エピソード3を見て、「孤独」というものについて思うことがあったので書いてみます(『SHERLOCK』の考察については、別の日にまとめたいと思います)。
1人でいる孤独は、最初からさびしいとわかっている。一緒に話したり笑ったり悲しんだりしてくれる相手がいない、取り残される孤独。
人と一緒にいるときの孤独は、それとはまったく違う。人に理解されない孤独。親しい相手といるときほど深くなる。それを解消するのは難しい。というか、ほぼ無理なのではないかと思う。人が誰かを完全に理解することなんてないし、誰かに完全に理解されることなんてない(完全に理解されてしまったら、やりづらいことだって多々あるんじゃないだろうか)。
「Alone protects me.」
シャーロックのセリフ。誰かと理解しあいたいという期待が裏切られ続けたり、あまりにも理解不能な人と出会ったりすると、私も思う。ああもう1人でいい。人と一緒にいるのは、その相手のことを好きでも嫌いでも、とてもエネルギーを使う。
「誰も私を理解してくれない」と暗い部屋の中で何時間もひざを抱えた10代の頃から、もう随分な時間が過ぎた。今は理解されないことに慣れてしまった。他人を理解できないことにも。しかたないじゃない、と思う。
理解できないなんてわかっているのだから、どうでもいい他人とは理解しあわなくていい。でも、理解したいと思う人と出会ったときは、その気持ちを持ち続けるようにしている。それをなくしてしまったら、その人との関係は続かないから。
本当は、シャーロックのセリフには共感する。他人と理解しあうという決してできないことにエネルギーを使うより、他のことをした方がいいのかもしれない。
ジョンのように
「Friends protect people.」
とは今の私は言えない。1人の孤独と、誰かといるときの孤独、その2択がすべてとは思わない。けれどどちらかを選んで生きていくとしたら、どちらの生き方もあると思う。
『SHERLOCK』シャーロックとジョンの関係を読む(シーズン1)
このドラマについて今さら私が書くこともない、と前回『SHERLOCK』についての記事で書いたのに、書いてみると好きなものについて書く楽しさを止められなくて、性懲りもなくまた書いている。こんなにも世界中の人たちの興奮と想像力をかきたてるこのドラマってなんなんでしょう。
シャーロックとジョンの関係は、出会いから少しずつ変わっていって、お互いに信頼を深めていくように見えるけれど、ときどき2人の本心がよくわからないところがある。そんなわけで、再放送を見ながら2人の関係を振り返ってみたいと思います。
S1E1『A Study in Pink(ピンク色の研究)』
ジョンと出会うまで、シャーロックにとっての友達は頭蓋骨だけだった。
ジョンがはじめてベイカーストリート221Bを訪ねたとき、部屋にある頭蓋骨を杖で指し
「The skull?」
と聞く。
「A friend of mine.」
おそらく、ジョンと出会うまでのシャーロックは1人でいるのが当たり前で、自分よりレベルの低い人たちに合わせなければいけないなら、1人でいた方がいいと思っていたのだろう。しかしジョンと出会って、シャーロックは人と一緒にいることの楽しさと1人の孤独を知ったのだろう。いや、話しかけても反応しない骸骨を友達に見立てている時点で、孤独ではあったのかもしれない。小さな子が、遊んでくれる相手がいなくて人形相手に遊ぶように。話すことができない相手でも、「友達」とか「相棒」と呼べる存在がシャーロックには必要だった。
ジョンは戦地から戻ったばかりで、気力を失くしていた。マイクロフトが分析したように戦場が恋しかったのだろうか。マイクロフトがジョンを呼び出すシーンは印象的だけれど、変人の弟と一緒にいる男に対する兄の面接だったんだろうなあ。
退屈な日常より刺激的な戦場を求めてシャーロックと一緒にいようと思ったなら、シャーロックとジョンは似ている。
このエピソードでは、シャーロックの自己顕示欲が犯罪者に転じるきっかけとなる可能性があることを示唆される。それを止められるのはジョンなのだろうか。
しかしここで気になるのは、このエピソードでシャーロックは誰も殺していないが、ジョンは違う。躊躇なく冷静に人を撃つ。軍人の経験からかもしれないが、もっと深い心の闇があるのだろうか。
S1E2『The Blind Banker(死を呼ぶ暗号)』
エピソード1から少しだけ2人の関係性は変化している。
自分にとって特別な存在だと感じているジョンを、シャーロックは失いたくない。
だから、シャーロックは何者かに221Bで襲われたとき、ちょうど買いものに出ていたジョンにはそのことを話さなかった。ジョンが部屋を出て行ってしまうのが怖かったのだろう。
シャーロックに調査を依頼してきたセバスチャン(シャーロックの大学時代の同級生)を2人で訪ね、ジョンを紹介したときに言った、
「This is my friend.」
このfriendという単語を強調して言っているのを聞くとわかるように、シャーロックは自分にも友達と呼べる人がいるのだとセバスチャンに言いたかった。ジョンにはあっさりと同僚だと言い直されてしまうのだけど。
ジョンはこの時点では、シャーロックを友達だと認めていない。
このエピソードでは、2人の気持ちはすれ違い続ける。
失踪したスーリンの部屋でシャーロックが襲われたときには、油断して襲われたかっこわるい自分をジョンに知られたくなかったのか、そのことを隠す。そのことがジョンに、ないがしろにされているという気持ちを起こさせるかもしれないなんて思いもしない。ここで見えるのは、初めてできた友達への接し方におけるシャーロックの不器用さ。
中国の密輸団がかくれみのにしているサーカス団のショーの客として入ったときにも、デート中のサラと2人になりたいジョンに
「I need your help.」
とシャーロックは伝えるが、ないがしろにされていると思っているジョンには響かない。
S1E3『The Great Game(大いなるゲーム)』
シャーロックの気持ちがジョンのそれを上回っている。このエピソードでの、好きな相手(ジョン)に対するシャーロックの子どもっぽさが私はけっこう好きだ。
シャーロックは、はじめての友達に対してどう接したらいいかわからない。知識が偏りすぎているという欠点を指摘されたシャーロックは、自分には必要ない知識だと反論し、すねたようにソファーに寝転がりひざを抱える。何を言っても反論されるジョンは、外へ出かけてしまう。窓からジョンの姿を見るシャーロックは、かまってほしいのに素直になれない恋人のようだ。事件が起きるのを待ち望むのも、ジョンと一緒に事件を追うのが楽しくて仕方なかったからじゃないか。
レストレードから依頼の電話を受けたシャーロックは、スコットランドヤードにジョンを誘う。一瞬戸惑った顔をするジョンは、シャーロックの捜査に自分が必要だとはわかっていない。ここで原作のホームズのように
「心から信頼できる友人がそばにいてくれるかどうかで、僕の気持ちは天と地ほどのひらきが出てくる」
なんてシャーロックが言えたらね。
人質の命を最優先で考えるジョンに対し、ゲームを楽しんでいるように見えるシャーロックをジョンは理解できない。シャーロックとジョンのこの考え方の違いは、2人がどんなに親しくなったとしても決してうまらないだろう。
太陽系についてもう少し知っていたら、もっと早く事件を解決できたとシャーロックが認めるのを待っているというジョンに対し、シャーロックはやはりそれを認めない。少し力の抜けた声で話すジョンは、シャーロックを理解することをすでに諦めているようにも見える。
真夜中のプールにモリアーティを呼び出したシャーロックだが、ジョンを人質にとられてしまう。自分以上に犯罪をゲームとしてしか思わないモリアーティと話し、シャーロックは自分はモリアーティとは違うと感じる。
ジョンは体を張ってシャーロックを銃から守ろうとする。このことで2人は信頼は深まる。シャーロックはうまく感謝を伝えられなかったけれど。
余談ですが、E1の最後でジョンはマイクロフトがシャーロックの兄だと聞き、てっきり・・・だと思った、と言いかけるのだけれど、多分ジョンは、マイクロフトのことをシャーロックの元彼と思ったんじゃないのかな。マイクロフトのセリフは、聞きようによってはそう聞こえるし(気にかけているだの同じ側にいるだの)。私はマイクロフトの底知れない感じ、好きです。
『SHERLOCK』シャーロックとアイリーンの関係を読む
ドラマ『SHERLOCK』についてはもう多くの方が書かれているので、今さら私が書くこともないかとは思っていたのだけれど、NHKのBSプレミアムでの再放送を見ていて、以前に見たのとはちょっと印象が変わったので、やはり書き残しておこうかなと思う。
もともと子どもの頃にドイルの原作を夢中で読んでいた。このドラマを見てから原作を読み直してもいて、原作と比較しながら見てしまう。
アイリーン・アドラーという女性は、原作ファンにとってはもちろん特別な存在で、『SHERLOCK』ではどんなふうに描かれるのだろうと思っていた。
原作『ボヘミアの醜聞』では美貌と知性を持ったオペラ歌手だった。ドラマではS1E1『ベルグレービアの醜聞』で登場するが、SM女王になっていたのは意外だった。
このエピソードでシャーロックとアイリーンの関係はいろいろな解釈ができると思うけれど、私なりの解釈を書いてみます。2人の関係を読み解くには、シャーロックの2つのコンプレックス、兄マイクロフトに対してのものと、童貞であるということがキーだと思う。そしてエピソードの結末をどう解釈するかは、彼のコンプレックスを利用するようアイリーンに伝えたのはモリアーティだということを考えに入れなければいけないと思う。
アイリーンとシャーロックの最初の出会い。
原作ではホームズは牧師のふりをしてアイリーンの家にあがりこむ。アイリーンはこのとき、牧師がホームズが変装している姿とは気づかない。けれど彼女はあとからそれに気づき、男装してベーカー街を訪れホームズに声をかける。ホームズはそれがアイリーンの変装とは気づかない。
ドラマでは、アイリーンに会いに行く前に服をとっかえひっかえして何を着ようかと悩むシャーロック。シャーロックを迎えるアイリーンも同じく。まるでデート前のカップルだ。シャーロックがアイリーンの家に入ると、アイリーンは余裕で、何も身につけない姿でシャーロックの前に現れる。それはシャーロックの度肝を抜いて優位に立とうという作戦でもあるけれど、アイリーンにはそれ以上に確かめたいことがあった。それはシャーロックが女に興味があるのかどうかということ。
ここで、終盤のアイリーン、シャーロック、マイクロフト3人のシーンで、アイリーンが言ったことを思い出す。モリアーティはホームズ兄弟への接し方をアイリーンに教え、シャーロックをvirgin(童貞)と呼んでいたと。それを聞いたアイリーンは、女に免疫のないシャーロックが自分を女として意識すれば、シャーロックをうまく操れると考えた。けれどシャーロックが女に興味がなければその作戦は通用しない。だからシャーロックを試した。何も着けずにシャーロックの前に現れ、自分を見てシャーロックが金庫のパスコードを解けたら(パスコードはアイリーンのスリーサイズ)、シャーロックは女に興味があると推測できる。シャーロックはパスワードを解く。それを見てアイリーンがうっすらとほほ笑んだのは、彼が女に興味があるとわかり、自分が立てた計画どおりに進められると思ったからだろう。これ以降アイリーンは、どうしたら女に対する興味を自分に向けさせその気持ちを利用できるかを考えて、シャーロックに接していたと思われる。
シャーロックは金庫からアイリーンの携帯を奪ったが、アイリーンはシャーロックに薬を打って意識を奪い、携帯を取り戻す。このとき、アイリーンは携帯に何かを打ち込んでいるけれど、ここで携帯のパスコードをあのコードに変えたのではないかと思う。
シャーロックが薬の作用で意識を失い、その間に彼のコートとともに彼の携帯も持ち去ったアイリーンは、その夜シャーロックにコートと携帯を返しに来た。携帯の着信音はアイリーンによって変えられ、アイリーンのメールが届いたときには彼女の甘い声が聞こえるように設定されている。
携帯の着信音なんて気に入らなければすぐに変えることができるのに、シャーロックはそれを変えない。彼の態度を見ていると、むしろその声を聞くのが嬉しくさえあるようだ。すっかりアイリーンの術中にはまっている。シャーロックはメールが届くたびにアイリーンの甘い声を聞き、その姿を思い出す。1日に何度も。それは恋に似た感情を産んでいく。うぶで孤独な坊やは女王様に太刀打ちする術を知らない。
国家機密レベルの秘密を知るアイリーンは、常に命を狙われる危険にある。アイリーンは追っ手を欺くために自分の死を偽装する。アイリーンが死んだと思い、シャーロックは失恋したように食事もせず、しゃべらず、バイオリンで悲しい曲を弾いている。
再びシャーロックの前に現れたアイリーンにそそのかされ、シャーロックはある暗号を解く。アイリーンは暗号の意味をモリアーティに伝える。モリアーティは暗号を解いたことをマイクロフトに伝え、マイクロフトは時間をかけて進めていた国家レベルの作戦が決行できなくなったことを知る。
アイリーンはこの暗号を解かせるためにシャーロックに近づき、シャーロックを利用するようアイリーンに持ちかけたのはモリアーティだった。
マイクロフトはシャーロックを呼び出し、シャーロックが暗号を解いたことで大きな作戦が無駄になったことを伝える。それはシャーロックが好きな女にかっこいいところを見せたいと思ってやったことであり、恋する男の子が教科書どおりに行動した結果なのだと。自分はアイリーンにただ利用されていたのだと悟るシャーロック。そこへ現れたアイリーンは
「Mr.Holmes.」
と声をかけるが、声をかけた相手はシャーロックではなくマイクロフト。誰かがホームズ、と呼ぶとき、呼ばれるのは自分ではなく兄のことなのだ。アイリーンはマイクロフトに、自分の持っている情報を買い取り、自分を保護してほしいと要求する。好きな女に利用され、しかも彼女が頼ったのは自分の兄だとは。シャーロックのプライドはずたずたになっただろう。
アイリーンは持っている国家機密情報と交換に、大金と自身の保護をマイクロフトに確約させる。
ここまではおそらくモリアーティが描いたシナリオだった。
アイリーンが、モリアーティに助言をもらったと言うのを聞き、シャーロックの顔つきが変わる。モリアーティが関わっているなら、彼の目線で一連の出来事を組み立て直さなければならない。モリアーティに負けることはシャーロックのプライドが許さない。
モリアーティにとってはアイリーンもゲームの駒のひとつでしかない。ホームズ兄弟を出し抜いて大金をせしめようが、うまくいかずに命を落とそうがどちらでもいい。それがモリアーティの用意したシナリオの結末だ。シャーロックはそのどちらでもない結末にシナリオを書きかえる必要があると思った。そうでなければモリアーティとのゲームに負けることになる。
恋に流されていたシャーロックがここからモリアーティとの対決に頭を切り替えたとして、その解釈でシャーロックとアイリーンのセリフを追っていくのだけれど、やはりどう読むのかは難しい。
シャーロックはモリアーティのシナリオを破るひとつの可能性に賭けた。それはアイリーンのパスコード。けれど彼は自分の恋を捨てられなかった。
シャーロックは、前夜アイリーンの手を取ったとき実は彼女の脈を測っていて、そのときアイリーンの脈は恋の作用で早くなっていたと言った。けれどシャーロックが言ったことは事実だったのか。私は、アイリーンの脈の早さはいつもと変わらず、脈が早かったのはシャーロックの方だったのではないかと思う。シャーロックは自分とアイリーンの気持ちの温度差に初めて気づいたのではないか。
それなのにアイリーンの脈のことで嘘をついたのは、それがシャーロックの願望だったからなのか、アイリーンに何かのメッセージを送っていたのか。その両方ではないかと思う。
シャーロックはアイリーンの携帯にパスコードを入力していく。それは、これであってほしいとシャーロックが願うパスコードだ。もしパスコードが自分の思ったものだったなら、シャーロックは、アイリーンが自分に対してしたことを許して、自分の命を賭けてもアイリーンを救おうと思っていた。けれど全く違うパスコードなら、完全な失恋をし、この世からアイリーンを失う。だから、ひとつひとつゆっくりと入力していく。愛は危険な代物だというセリフは、アイリーンにではなく自分に言ったのではないだろうか。
アイリーンはそれに気づき、シャーロックを止めようとする。
「I'm just plaing the game.」
ゲームをしているだけなのだから、シャーロックが命を賭ける必要はない。
「I know.」
わかってると言うシャーロック。いつの間にこんな大人の会話ができるようになったんだシャーロック。
2人が小声でこの言葉を言うのは、マイクロフトに聞かれないようにするためだ。 2人が新しいゲームを始めたことを他人に知られてはいけないから。
シャーロックはパスコードを解く。それは、シャーロックが求めていたものだった。
「I am SHERLOCKED.」
このパスコードは、アイリーンからシャーロックへのメッセージであり、モリアーティのシナリオでは用意されていないものだった。シャーロックはモリアーティのシナリオを破る賭けに勝ったのだ。
これでモリアーティのシナリオからシャーロックのシナリオへと書きかわった。マイクロフトの前で、シャーロックとアイリーンは、新しいシナリオで自分に与えられた役割を演じる。表面上は、モリアーティのシナリオが壊れていないように見せなければ、アイリーン救出はモリアーティに邪魔される可能性があり、そのためにはマイクロフトもジョンも欺かなければならない。
そして、カラチで窮地に陥ったアイリーンをシャーロックが救う。
そのあとアイリーンは彼女の1ばん得意な分野でシャーロックにたっぷりお礼をしたのだろう。シャーロックは2つのコンプレックスのうち、1つは手放せたのではないかな。
シャーロックにとってアイリーンは初めての女性になり、アイリーンにとってシャーロックは命の恩人として記憶に残り続ける。
そういう結末だったのではないかと思う。
アイリーンのパスコードについて追記。
おそらくアイリーンは、シャーロックがパスコードを解くことも見越していたのではないか。とすれば、それはシャーロックに対するメッセージだったと考えられる。アイリーンは女のカンのようなもので、最後の最後に頼れるのはマイクロフトではなくシャーロックだと感じていたのだろう。シャーロックはマイクロフトにはないものを持っている、だからコンプレックスではなく、自分は自分なのだと自信を持ってほしいというメッセージをパスコードに託した。それはきっと母性のようなものだったのではないかな。
アイリーンは、もっと早い段階でシャーロックがパスコードに気づくと想定していたのかも。でも恋に流されるシャーロックは気づかなかった。もしもっと早く気づいていたら、その時点でモリアーティのシナリオから抜け出し、アイリーンの描いたシナリオに移行していたのかもしれない。
けれどゲームが終わるぎりぎりのところで、シャーロックはやっと気づいた。アイリーンのシナリオからしたらそれは遅すぎたのだけれど、シャーロックは恋する男を貫きたかったのだと思う。
<2017.08.29追記>
いやシャーロックはアイリーンとの間でコンプレックスを手放せてないのね。と、このあとのエピソードを見て思った。
アイリーンはそんなに甘い女じゃなかった。命を助けられたからといって、 相手に欲しいものを与えるようなことはしない。きっと、ふふん、ありがと、とか言って去っていってしまう。
でもシーズン4の最終エピソードで、シャーロックは兄に対するコンプレックスは手放せたんじゃないか。そして、きょうだいの、家族の形が変わっていくんだろう。
『クイーン・メアリー』の半生(出生からスコットランド女王退位まで)
ドラマ『クイーン・メアリー』より
『クイーン・メアリー』シーズン1の放送が終わって約2か月。続きが気になります。
メアリーロスをうめるために、メアリー・スチュアートの生涯について調べてみた。出生からフランスでの生活、フランソワとの結婚、スコットランドでの2度の結婚と女王退位までを書いてみようと思う。
メアリー・スチュアートの出自
メアリーの父はスコットランド王ジェームズ5世、母はフランスの有力貴族ギーズ家の一員マリー・ド・ギーズ。ジェームズ5世はイングランド王ヘンリ7世の孫であり、メアリーはイングランド王の曾孫であったのでイングランドの王位継承権があった。
メアリーには腹違いの兄がいた。ドラマにも登場するマリ伯ジェームズ・スチュアート。ジェームズはプロテスタントだった。ドラマではシーズン1第18回『祖国の危機』に登場し、スコットランド国民はフランス人のマリー・ド・ギーズではなく、メアリーの統治を望んでいると言い、メアリーにスコットランドへの帰還を促す。しかしスコットランドへ向かう船の中でメアリーを殺害する計画があることが明らかになる。この計画にジェームズ・スチュアートが加担していたのかどうかはわからずじまいだった。愛人の子として庶子の扱いを受けるジェームズ(のちに嫡出子と認められた)は、女王という立場の妹メアリーに複雑な思いを抱いていただろう。
一方、メアリーとイングランド王位を争ったエリザベスは、イングランド王ヘンリ8世の娘。ヘンリ8世は生涯で6度結婚し、エリザベスの母アン・ブーリンは、ヘンリ8世の2人目の王妃だった。エリザベスが生まれたとき、男子ではなかったことにヘンリ8世は落胆した。その後も男子を産めないアン・ブーリンから気持ちが離れ、ヘンリ8世はアン・ブーリンを不義密通の罪で処刑した。このことでエリザベスは庶子となった。
メアリーの結婚
スコットランド女王として、結婚は常に国益が優先して考えられた。母マリ・ド・ギーズが選んだのは、フランスの王太子フランソワだった。父の死により生後6日でスコットランド女王となったメアリーは、他の者を王に擁立しようとする人々から命を狙われた。メアリーを守るため、マリー・ド・ギーズは6歳のメアリーをフランスへ送った。
この時代のスコットランドについて過去記事で書いています。
成長し、背が高く優雅と威厳を持ち合わせた美貌のメアリーは「フランス宮廷の華」と呼ばれたという。6か国語を話し、ルネサンス時代の文化を吸収し、詩作、音楽、絵画など芸術にも才能があり、馬術や舞踏など体を動かすこともうまくこなした。
夫フランソワは、生まれつき体が弱く体も小さかった。フランス王になるにしては頼りなかったかもしれないが、メアリーとフランソワは幼少時から一緒に過ごした幼なじみでもあり、結婚しても仲がよかったらしい。
1558年にメアリーとフランソワは結婚した。のちのメアリーのたどった道を思うと、この時代が最も幸せだったかもしれない。
1559年にフランス王アンリ2世が死去し、フランソワがフランス王となった。しかし、フランソワは1560年に16歳で亡くなり、メアリーは未亡人となった。
スコットランドの宗教対立
スコットランド宗教改革の中心となったのはジョン・ノックスだった。
彼は当初カトリックの聖職者を務めていたが、ルター主義的改革のために働くようになった。宗教改革者としてフランスと戦った彼は、フランス軍に捕囚された後、メアリー・テューダーの「カトリック反動」時代にはジュネーヴに亡命して、カルヴァンの影響を受けた。1555年にはいったんスコットランドに帰国し、59年に再帰国後、カルヴァン主義的改革の支持者をえて、カトリック教会を攻撃し、プロテスタント教会体制を樹立した。
1560年、スコットランドでは会衆指導派(プロテスタント)は、スコットランドはプロテスタント国であると宣言した。彼らはミサを禁止し、これは「スコットランド信条」として知られる文書で成文化された。
その翌年、メアリーはスコットランドに帰国する。すでにプロテスタントを受容していたスコットランドでは、幼少期からカトリックの教えを受けてきたメアリーにとってやりづらいことも多々あっただろう。メアリーはノックスを呼び寄せ、私的なミサを執り行いたいと主張するが、ノックスはそんなメアリーを非難した。ノックスはメアリーとの討論で一歩も引かなかった。メアリーはカトリックとプロテスタントのどちらかを優遇するのではなく、寛容策を取るようになった。
メアリーの2度目の結婚
未亡人とはいえ若く美しいメアリーには、多くの縁談が持ち込まれた。メアリーが再婚相手に選んだのは、ダーンリー伯爵ヘンリー・スチュアートだった。
エリザベスはこの結婚に反対した。ダーンリーは、ヘンリー8世の姉マーガレットの孫にあたり、イングランド王位継承権を持っていたので、メアリーとダーンリーとの結婚は、メアリーのイングランド王位継承権を強めることになる可能性があった。また、カトリックのメアリーが、熱心なカトリック信者のダーンリーと結婚すれば、ローマ教皇のスコットランドへの発言力が強まる可能性もあった。しかし、メアリーは反対を押し切り、1565年、ダーンリーと再婚した。
最初は仲良く結婚生活を送っていた2人だったが、1年もたたないうちにメアリーはダーンリーに愛想をつかしてしまう。メアリーはイタリア人秘書のデビッド・リッチオを寵愛する。リッチオの影響で、それまでカトリックとプロテスタント対立に対しメアリーがとっていた宗教的な寛容政策は弱められ、カトリックを積極的に推進する方向に転換された。ダーンリーは、メアリーとリッチオの仲を疑い、宗教政策に不満を持つ貴族たちと一緒にホリルード宮殿に押し入り、リッチオを殺害した。
このとき、メアリーは妊娠していた。1566年、メアリーは男の子(のちのジェームズ6世)を出産した。子どもが生まれても、メアリーとダーンリーとの仲はもとに戻らなかった。
病気になったダーンリーを、メアリーはエディンバラ近くの館に移した。1567年2月の夜、ダーンリーのいた館が爆破され、ダーンリーは死亡した。この事件はボズウェル伯爵が首謀者とされ、メアリーもその共犯だと噂された。
メアリーの3度目の結婚
ボズウェルはその後メアリーを誘拐し凌辱したが、この行為はメアリーの同意を得ていたと言われている。ボズウェルは妻と離縁し、メアリーと結婚した。結婚は、ダーンリーの死亡から3か月しか経っていなかった。国民はこの結婚に反発し、反乱へと発展していった。貴族たちはメアリーを退位させ、彼女の息子で生後13か月のジェームズ(のちのジェームズ6世)を即位させた。ボズウェルは逃亡中につかまり、獄中で狂死した。
メアリー退位後
メアリーの息子ジェームズの摂政には、マリ伯ジェームズ・スチュアートが就いた。メアリーは息子ジェームズにカトリックの洗礼を受けさせていたが、ジェームズ・スチュアートは彼にプロテスタントの教育をした。
メアリーは城に幽閉された。1568年に脱出し、6000名の兵士を集めたが、マリ軍に敗れ逃亡した。馬で駆け漁船を乗り継ぎ、元女王としては耐え難いような逃亡生活を送ったと言われている。何が彼女を動かしていたのだろう。女王の地位の奪還か、自分を退位させた者たちへの復讐心か。
スコットランドからフランスに渡る選択肢もあったが、メアリーが助けを求めたのはエリザベスのいるイングランドだった。25歳のメアリーは、その後イングランドで幽閉生活を送り、44歳で処刑された。
イングランドに渡った後のメアリーの生活については、日を改めてまとめたいと思います。
<参考文献>
『クイーン・メアリー』について書いた記事